岡本郭男

岡本郭男（おかもと あつお）は、1955年12月14日生まれ、京都府舞鶴市出身のドラマー、スタジオミュージシャンです。その音楽キャリアは、1970年代から現在に至るまで、日本の音楽シーンの変遷と共に歩んできました。

中学時代にギターを始めた岡本は、高校時代にドラムに転向。ヤマハネム音楽院（現ヤマハ音楽院）で音楽理論やドラム奏法を学びました。同級生には、松下誠、山本恭司らがいます。1975年、浜田省吾に誘われロックバンド「愛奴」でデビュー。しかし、バンドは翌年には解散。これを機に、岡本はスタジオミュージシャンとしての活動を本格化させます。

1979年には、新田一郎、渡辺直樹らに誘われブラスロックバンド「スペクトラム」に参加。多忙な日々を送りました。スペクトラム解散後は、再びスタジオミュージシャンとしての活動に戻りますが、1982年には、芳野藤丸らと意気投合し、ロックバンド「AB'S」を結成。ロンドン録音を含む3枚のアルバムをリリースしました。AB'Sは1985年に活動を休止しますが、2003年にオリジナルメンバーでライブ活動を再開、2005年にはCrossover Japan '05に出演し、2005年、2007年にはオリジナルアルバムもリリースしています。

1997年からは、「THE TRIPLE X」に桑名正博らと共に参加。インディーズレーベルで2枚、メジャーレーベルで1枚のアルバムをリリースしましたが、2002年に活動を休止しています。2007年にはブラスロックバンド「BLUFF」に、2009年には「SHŌGUN STYLE」（現SHŌGUN）に参加するなど、バンド活動も継続。

岡本は、バンド活動以外にも、数多くのアーティストのレコーディングやライブサポートに参加しています。そのリストには、松山千春、長渕剛、浜田麻里、芳野藤丸、桑名正博、中森明菜、松本孝弘など、日本の音楽シーンを代表するアーティストが名を連ねます。特に、長渕剛のサポートは数多く、「桜島オールナイトコンサート」をはじめとした大規模なツアーにも参加しました。

また、後進の育成にも力を入れており、フリースピリット音楽芸能学園のドラム科講師を務めています。2015年には、自身の還暦を祝うライブ「岡本郭男還暦祭」を開催。BLUFFのメンバーに加え、芳野藤丸、兼崎順一、西慎嗣ら、豪華なゲストが集まり、自身の音楽キャリアを総括するようなライブを披露しました。

趣味は釣り、ビリヤード、ボウリング。ヤマハネム音楽院時代には、山本恭司と同室だったというエピソードも持っています。

岡本のディスコグラフィーには、「愛奴」「スペクトラム」「AB'S」「THE TRIPLE X」「BLUFF」「SHŌGUN」といったバンドのアルバムが並びます。また、「Second Navigation」（スペクトラム）、「In The City Night」（AB'S）など、多くの楽曲の作曲にも携わっています。スタジオワーク、ライブサポート、バンド活動、後進の育成と、その多岐にわたる活動は、日本の音楽界に深く貢献しています。

岡本の名前の漢字表記は「郭男」ですが、「敦男」と誤表記されることや、アルファベット表記で「Ikuo Okamoto」と誤表記されることがあることも特筆すべきでしょう。愛奴の「LOVE IN CITY」や浜田省吾の「生まれたところを遠く離れて」では、ひらがな表記の「岡本あつお」でクレジットされています。

岡本郭男は、その卓越したドラムテクニックと音楽性、そして幅広い活動を通じて、日本の音楽シーンに欠かせない存在と言えるでしょう。

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