超壕機 TG

超壕機 TG（ちょうごうき TG）

超壕機TGは、大日本帝国陸軍によって開発された特殊な工兵車両であり、主に戦車壕を迅速に越えるための機能を持っていました。これは、当時の日本陸軍がソ連赤軍を仮想敵として長年にわたり行っていた研究の一環でした。

開発の背景

日本陸軍は、ソ連及び満州国境の陣地に設けられる幅7メートルの対戦車壕を効果的に突破する方法を模索していました。このため、装甲作業機が開発され、トーチカの爆破、障害物の撤去、地雷処理、壕の掘削、架橋など、様々な機能が求められていたのです。

しかし、これらの装甲作業機はその機動性に欠け、機甲部隊との連携が苦手で、また多機能であったためそれぞれの能力が不十分でした。そこで、九七式中戦車をベースに、これらの機能を特化させた新しい車両が必要とされました。これが超壕機TGです。

構造

超壕機TGの車体には、九七式中戦車のシャーシが使用されています。本車に搭載されていた超壕装置は、鋼製の橋を火薬を用いて発射する仕組みでした。このカタパルトは、萱場工業が生産に関与しており、戦車橋は幅2.4メートル、長さ9メートルで、重さは約1.98トンありました。

カタパルトの最大の利点は、迅速な架橋が可能であり、その作業中に敵からの攻撃にさらされにくい点です。日本の工業力の制約下で、ウィンチ作動による二折式の仮設橋がうまく機能しない可能性があったため、このカタパルトは効率的でした。しかし、小さな視界を持つ戦車から正確な投射を行うためには熟練が必要で、投射距離は約10メートルでした。

全てのカタパルトの機構は車内に収められたため、架橋作業に際しては外部に出る必要がなく、被弾のリスクを低減しました。発射機は、筒状で直径約110mmの黒色火薬を使用し、内部には18mmの穴が開けられた推薬を10個搭載する計画がありました。

また、戦車橋を安全に保持するために、離脱機という装置も備えられており、これによって戦車橋をしっかりと固定していました。さらに、ウィンチと巻揚機も装備されており、これにより搭載作業は迅速に行える設計となっていました。実際の試験では、密閉環境下で一時間の運転で車内温度は57度に達し、乗員には相当な負担がかかりました。

超壕機TGは、戦闘環境で期待通りの性能を発揮し、実地における対戦車壕への架橋試験も成功を収めました。しかし。量産には至らず、試験運用に留まりました。日本陸軍によるこの独自の技術開発は、戦争の状況を反映した興味深い一例です。今後もこのような軍事技術の研究がどのように行われたのか、興味深い情報が蓄積されていくことが期待されます。

参考文献

• - 福島紐人「[工兵]]車輛」『第二次大戦の日本軍用車両』グランドパワー11月号、デルタ出版、1996年。
• - 猪股登「ロケットの実用化に歩み出した旧日本軍のカタパルト式架橋戦車」『スターリン重[[戦車]』グランドパワー9月号、ガリレオ出版、2008年。

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