超短波警戒機甲

超短波警戒機甲の概要

超短波警戒機甲（ちょうたんぱけいかいき・こう）は、第二次世界大戦中に日本陸軍が開発した初の実用レーダーシステムです。このシステムは、電波ビームを使用する通常のレーダーとは異なり、送信機と受信機を適切な距離で設置して敵航空機を探知する「線警戒」方式を採用しました。これによって、接近する航空機に対する早期警戒が可能となりました。

開発の背景

陸軍は、1930年代からレーダー技術に注目し、1932年に研究をスタート。1940年には陸軍科学研究所が中心となって、商業企業の協力を得ながら、航空機探知のために専門的なレーダーの開発を進めました。1940年10月には実用試験を兼ね、超短波警戒機甲が中国戦線に配備されるなど、戦争に向けた防空任務に貢献しました。

技術的特性

超短波警戒機甲の設計は、出力によって10ワットから400ワットまでの送信機を用意し、それぞれの出力に応じた探知距離が設定されています。受信機は常に一定の周波数で音を鳴らしており、敵機が接近するとドップラー効果によって音程が変化します。この仕組みにより、探知要員は敵機の存在を迅速に把握することが可能となります。

実戦での運用

超短波警戒機甲は、実用化後は日本本土および満洲（関東軍）に配備されました。1941年12月には南方軍に14台が交付され、戦局の変化に対応する役割を果たしました。さらに1944年には、B-29による日本本土への空襲に際し、超短波警戒機甲が効果的に活用され、米軍機に対する迎撃を支援しました。特に八幡空襲では、超短波警戒機甲の探知情報が迅速な迎撃行動につながりました。

陸軍の防空戦略における位置付け

超短波警戒機甲は、陸軍の防空戦略において重要な役割を果たしましたが、直接前方方向の警戒が難しいという課題も抱えていました。そこで新たに開発された警戒機乙との併用が進められ、戦局に応じた柔軟な防空態勢が整備されました。

結論

超短波警戒機甲は、日本陸軍のレーダー技術の一環として独特の探知機能を持つシステムです。日本本土防空において、特にB-29の空襲に対する対応においてその威力を発揮し、戦局の変化に貢献しました。このシステムは、後のレーダー技術の発展にも大きな影響を与えることとなりました。

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