陸軍科学研究所

陸軍科学研究所の概要

陸軍科学研究所は、その名の通り、日本陸軍が兵器及び兵器材料に関する基礎科学の研究を行うために設立された機関です。この研究所は、第一次世界大戦による兵器技術の急速な発展に対応することを目的として1919年4月15日に設立されました。当初は陸軍火薬研究所の改編により、陸軍技術本部の傘下に置かれ、内部には第1課と第2課が配置されました。開設当初の事務所は、東京市小石川区内の東京砲兵工廠内に置かれました。

1923年には組織の拡充が行われ、第1部、第2部、そして第3部が設置され、研究の幅が広がりました。しかし、1933年には第2部が廃止され、その研究活動は陸軍造兵廠に移管されました。

その後、1939年には特殊電波や特殊科学材料に関する秘密の研究部門が設置され、登戸研究所という名が付けられました。これが行った研究は、第二次世界大戦に向けたさまざまな戦略的技術の開発に寄与しました。

1941年6月、陸軍科学研究所令の廃止に伴い、各部門は陸軍技術本部の各研究所へと改編されることになりました。この際、第1部は第7研究所に、第2部は第6研究所に、登戸出張所は第9研究所にそれぞれ改編されています。

組織の変遷

• - 設立初期（1919年4月15日）

所長と共に、第1課（物理的事項研究）と第2課（化学的事項研究）が存在していました。

• - 1923年5月以降

所長は廃止され、組織は次のように再編成されました：
- 第1部（物理的事項研究）→ 陸軍技術本部第7研究所（1941.6.）
- 第2部（火薬・爆薬研究）→ 廃止（1933.8）
- 第3部（化学兵器・化学防護研究）→ 陸軍技術本部第6研究所（1941.6）
- 登戸出張所（秘密兵器研究）→ 陸軍技術本部第9研究所（1941.6）

歴代所長

陸軍科学研究所の所長には、様々な高官が任命されてきました。

• - 田中弘太郎 中将（1919年4月15日 - 1922年8月15日）
• - 長野準四郎 中将（1922年8月15日 - 1923年8月6日）
• - 南部麒次郎 中将（1923年8月6日 - 1924年12月15日）
• - 緒方勝一 中将（1924年12月15日 - 1931年8月22日）
• - 大橋顧四郎 中将（1931年8月1日 - 1931年8月22日）
• - 久村種樹 少将（1932年8月8日 - 1936年8月1日）
• - 多田礼吉 中将（1936年8月1日 - 1939年3月9日）
• - 尾藤加勢士 中将（1939年3月9日 - 1941年6月15日）

参考文献

• - 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
• - 外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
• - 原剛・安岡昭男編『日本陸海軍事典コンパクト版（上）』新人物往来社、2003年。

関連項目

• - 陸軍技術研究所

陸軍科学研究所は日本の軍事技術の発展において重要な役割を果たしました。その研究成果は、兵器の質や性能の向上に寄与し、戦争における戦略的な優位性を争うための基盤を築くことにもつながりました。

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