越劇

越劇（えつげき）について

越劇は、中国の伝統演劇の中でも特に魅力的な存在であり、京劇と並ぶ中国の二大劇種に位置づけられています。21世紀に入った現在、越劇は中国のほぼ全土、特に上海や浙江省、江蘇省で広く上演されており、いわゆる「中国の宝塚」とも称されることがあります。この演劇は、柔らかいメロディが特徴で、主に女性が演じることで知られています。

歴史的背景

その起源は、1906年ごろに浙江省紹興市嵊県で農民の間で行われていた歌舞にさかのぼると言われています。越劇は1917年に上海に進出し、初期は遊楽場での上演が主でした。この時期、京劇や文明戯などの影響を受け、その演技スタイルは発展していきました。最初は男性のみの舞台でしたが、1923年から女性も参加するようになり、次第に女性中心の優雅な劇へと変革を遂げました。

1945年までの日本との戦争中、映画制作が減少したことにより越劇は栄え、1942年頃から現在の「越劇」としての名前が定着しました。1946年には、袁雪芬が魯迅の作品「祝福」を脚色した「祥林嫂」を上演し、この作品は越劇の新たな可能性を示す成功を収めました。

1949年に中華人民共和国が建国された後、越劇は共産党の支援を受けて成長を遂げます。この期間中に「紅楼夢」「梁山伯と祝英台」「西廂記」といった古典演目が現代のスタイルで初演されました。

政治と演劇

1966年から1976年の文化大革命中には、他の舞台芸術と同様に厳しい迫害を受けました。しかし、1980年代に入ると、テレビの普及によって観客が離れていく一方で、茅威濤のような新たなスターが登場し、再び越劇人気が復活します。今日では、越劇は中国の伝統演劇の中での重要な地位を確保しており、独自のファン層を築いています。

演目とキャスト

代表的な演目には「五女拝寿」や「追魚」、さらにはシェイクスピアをアレンジした「第十二夜」や「王子復仇記」があります。また、有名な劇団として紹興小百花越劇団や上海越劇院などが存在し、その活動は盛況を極めています。

越劇は、他の中国の演劇に比べて、演者の男女比が大きく異なります。特に目を引くのは、男性役を女性が演じるスタイルで、観客の中でも女性が多くを占めています。これは、日本の宝塚歌劇団とも比較される要因となっており、越劇の独自性をより際立たせています。本演劇の魅力は、伝統と現代が調和した形で表現される点にあり、観客に新しい感動を提供し続けています。

越劇は、ただの演劇ではなく、中国文化の深い理解を促す素晴らしい表現形式であり、21世紀においてもその影響力は衰えることがありません。

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