越桐國雄

越桐 國雄

越桐 國雄（こしぎり くにお）氏は、1953年9月生まれの著名な原子核物理学者であり、日本の情報教育分野におけるパイオニアの一人です。長年にわたり大阪教育大学理科教育講座の教授を務め、学術研究のみならず、教育現場における情報技術の導入と活用に深く貢献してきました。

経歴

越桐氏は大阪大学理学部物理学科で物理学を学び、1976年に同大学を卒業しました。さらに研究を深めるため、大阪大学大学院理学研究科物理学専攻に進学し、博士後期課程を修了した1981年には理学博士の学位を取得しています。大学院在学中から原子核理論計算においてコンピューターを頻繁に利用しており、この経験が後の情報教育への関心につながる重要な契機となりました。

学術的なキャリアは1982年に大阪教育大学で始まりました。同大学で助教授を経て、1999年からは教授として教壇に立ち、後進の指導にあたっています。

研究と活動

越桐氏の学術的な関心は、自身の専門である原子核物理学から、コンピューター活用の経験を経て、科学教育における情報通信技術（IT）の利用へと広がりました。特に1990年代からは、教育現場でのインターネットの活用を主要な研究テーマの一つとして掲げています。この研究の一環として、1996年から2000年にかけて、日本の学校におけるインターネットの教育利用状況について大規模な調査を実施しました。これらの調査結果は、当時の教育現場の情報化の実態を明らかにし、その後の情報教育推進に重要な示唆を与えるものとなりました。

また、越桐氏は教育現場の情報化を推進するための実践的な活動にも尽力しています。小・中学校および高等学校の教員を対象とした全国的な組織である「Ｋ１２・インターネットと教育・研究協議会」（K-12 from Japan）において会長を務めました。この協議会は、学校現場でのインターネット利用に関する情報交換や研究、研修などを通じて、教員の資質向上と情報教育の普及・発展を目的として活動しており、越桐氏はその中心的な役割を担いました。学校へのインターネット普及が始まった時期に、現場の先生方が情報教育を効果的に進めるための基盤作りに貢献した功績は大きいと言えます。

著書

教育分野における活動の一環として、インターネット教育に関する書籍の監修も行っています。

* 『インターネット教育イエローページ』（旬報社、1999年監修）

この著書は、教育関係者がインターネットを効果的に活用するための情報源として、当時の教育現場で広く参照されました。

越桐國雄氏は、基礎科学分野での深い学識と、情報技術の教育への応用という新しい領域開拓の両面で顕著な業績を残し、日本の情報教育の発展に多大な貢献をした研究者・教育者です。

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