越知川

兵庫県の清流、越知川：自然と伝説が息づく里

越知川は、兵庫県の中央部を流れる、二級水系市川の支流です。神河町の千ヶ峰を源流とし、町内を流れる美しい川として知られています。特に水質の良さから、アユ釣りの名所として親しまれています。

清流が育む豊かな自然

越知川は、県道岩屋生野線に沿って山間を流れる、比較的規模の小さい川です。しかし、流域に汚染源が少ないため、水は非常に澄んでいます。その清流で育ったアユは、小ぶりながらも美味であると評判です。鮎釣りシーズンは6月上旬から9月上旬まで楽しめます。

初夏には蛍が舞い、夏には子供たちの水遊び場として賑わいます。澄んだ淵に潜れば、アユやアマゴが群れをなして泳ぐ姿が見られ、自然との触れ合いを満喫できます。

林業の歴史と観光

越知川の流域である神河町は、かつて林業で栄えました。1955年に大山村、越知谷村、粟賀村が合併して神崎町となり、その後、町名を神河町に変更しました。越知谷地区は、耐火煉瓦の原料となるろう石の産地としても知られています。手入れの行き届いた杉やヒノキの人工林と越知川の清流が織りなす風景は、訪れる人々を魅了します。近年は過疎化が進んでいますが、豊かな自然と清流を活かした観光に力を入れています。

椀貸淵の伝説

越知谷小学校の少し手前、川の駅の向かいには、ろう石鉱山の跡地から湧き出るミネラル豊富な「越知ヶ峰名水」の水汲み場があります。そのすぐ近くには、深く淀んだ淵があり、「曲淵」または「椀貸淵」と呼ばれています。

柳田國男は著書「隠れ里」で、この椀貸淵について次のように記述しています。「昔、椀を借りたい人が淵に向かって数を告げて頼むと、翌朝には淵の中央にある岩の上に、頼んだ数の椀が現れた。しかし、椀を壊して返した者がいたため、二度と椀は貸し出されなくなった。淵の底は龍宮に通じている」と。これは、日本各地に伝わる椀貸し伝説の一つです。

夏になると、子供たちが椀貸淵に飛び込む姿が見られます。その光景は、夏の風物詩となっています。

観光スポットとアクティビティ

越知川流域には、以下のような観光スポットがあります。

千ヶ峰：東播磨最高峰
笠形山
大石山
新田ふるさと村
越知谷鉱山
不動の滝
大歳六社神社：樹齢800年の杉
椀貸淵
越知ヶ峰名水
かんざきピノキオ館
* 松か井の水

神姫バスと神河町観光協会が共同で主催する「越知川名水街道自転車下り」も人気です。川沿いの約20キロを、行きはバス、帰りは自転車で下るコースです（4〜11月）。

越知川は、美しい自然と歴史、伝説が息づく魅力的な川です。ぜひ一度、訪れてみてください。

交通アクセス

自動車：中国自動車道福崎インターチェンジ、または播但連絡道路・神崎南ランプから約15分。

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