趙良弼

趙良弼（ちょう りょうひつ）について

趙良弼は、1217年から1286年にかけて生存した元の時代の女真人の官僚及び政治家であり、その業績は特に有名です。彼はその父、趙愨と母の蒲察氏の間に生まれ、女真人の名門に育ちました。元々の姓は朮要甲であり、この姓は金に仕えていた祖先に由来し、後に趙姓として知られるようになりました。

家族の背景

趙良弼の曾祖父である趙祚は金の軍の大将であり、歴史の流れの中で幾度も家族が移住を強いられました。彼の家族は、金が滅亡する時代に北方から華北へと移動し、そこで生活を築いていきました。特に、1226年から1232年にかけて金とモンゴルの抵抗戦では、家族の多くが戦死し、趙良弼は母と共に放浪生活を余儀なくされました。

政治活動の始まり

金の滅亡後、趙良弼は1238年に元での選考試験に合格し、趙州教授に就任しました。その後、1251年にはクビライの幕下に入ることとなり、彼の才能は次第に認められるようになります。雲南や大理への遠征に参加し、彼の手腕によって戸数が倍増したという実績もあります。

クビライとその治世

1260年、趙良弼はクビライに即位を勧める立場となり、その後、陝西四川宣撫司の参議として再度活躍します。特に、クンドゥカイの反乱の際には、関係者を厳しく裁くなど、冷徹な判断を下しました。趙良弼は、仲間の忠誠を守るため、虚偽の告訴に対しても毅然とした態度で臨み、その結果、無実の罪で告発された者たちを救うこととなります。

日本への使節

1270年、趙良弼は高麗の屯田経略使となり、日本への使節を拝命しました。彼は日本に5回渡航し、その間に滞在して日本の文化や人々を観察しました。その報告では、日本の風土や人々の特性を詳細に描写し、日本侵攻に対して強く反対したのです。その後の1274年には僉枢密院事として南宋の攻略にも助言し、敵軍を効果的に攻略する手段を提供しました。

晩年

1282年、趙良弼は病気により懐孟路に隠居し、1286年に78歳でこの世を去ります。彼の死後、その業績を称えられ、推忠翊運功臣、太保などの名誉職が追贈されました。趙良弼の子、趙訓もまた政治の世界で重要な役割を果たし、陝西省の平章政事にまで昇進しました。

伝記資料及び文献

彼に関する詳細な記録は、『元史』や『新元史』に記載されており、さまざまな研究が行われています。特に、武田幸男の著作や他の学術書は、その生涯や業績に対する理解を深めるために有用です。彼の影響力とその時代における役割は、今なお多くの研究者によって探求されています。

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