趙選侍

選侍趙氏（せんじ ちょうし）は、明朝の第15代皇帝である泰昌帝（たいしょうてい）の側室として知られています。彼女の生年は不明ですが、1620年にその短い生涯を終えました。

皇太子時代の入邸と選侍としての生活

趙氏は、万暦帝の時代に、皇太子であった朱常洛（しゅじょうらく）、後の泰昌帝の邸に入り、選侍（せんじ）という皇子の側室の位を与えられました。選侍は、皇太子や皇子の側室の中でも比較的低い位に位置づけられていましたが、趙氏は泰昌帝の寵愛を受けていたと考えられています。しかし、記録によると、彼女が子をなすことはありませんでした。

泰昌帝の即位と急逝

万暦48年（1620年）7月、万暦帝が崩御し、皇太子であった泰昌帝が即位しました。しかし、泰昌帝は即位したものの、在位期間はわずか1ヶ月にも満たないものでした。通常、皇帝が即位すると側室たちは妃嬪（ひひん）として位を上げられますが、泰昌帝は即位後すぐに崩御したため、趙氏を含む側室たちは妃嬪に封じられることはありませんでした。

悲劇的な最期

泰昌帝の崩御後、天啓帝（てんけいてい）が即位しました。天啓帝の乳母であった客氏（かくし）は、朝廷内で大きな権力を握っており、趙氏とは仲が悪かったとされています。客氏によって、趙氏は直々に自殺を命じられるという悲劇に見舞われます。趙氏は、泰昌帝から贈られた賜物を並べ、西に向かって仏を拝んだ後、痛哭しながら自ら縊死したと伝えられています。彼女の最期は、権力闘争に巻き込まれた女性の悲劇を象徴する出来事として、後世に語り継がれています。

伝記資料

趙氏に関する主な伝記資料としては、以下のものがあります。

『明神宗実録』（みんしんそうじつろく）
『酌中志』（しゃくちゅうし）

これらの資料を通じて、趙氏の生涯や当時の宮廷の様子を知ることができます。

脚注

趙氏の生涯は、明朝末期の宮廷における複雑な人間関係と権力闘争の一端を示すものであり、歴史研究において重要な事例として扱われています。

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