泰昌帝

泰昌帝（たいしょうてい）

泰昌帝は、明朝の第15代皇帝であり、その在位期間は極めて短く、わずか1ヶ月でした。廟号は光宗（こうそう）、諱は常洛（じょうらく）といいます。日本では、在位中に用いられた元号から泰昌帝として知られています。

生涯

泰昌帝は、万暦帝の長男として生まれました。しかし、父である万暦帝は彼をあまり愛さず、寵愛していた鄭貴妃との間に生まれた三男の常洵を皇太子に立てようと考えていました。しかし、孝定太后の意向により、常洛が皇太子となりました。それでも、鄭貴妃の関係者による命を狙う事件（梃撃の案）が発生しましたが、万暦帝はこれを黙認し、臣下からの上訴にも関わらず、鄭貴妃を庇い続けました。

このような状況下で、万暦48年（1620年）7月、父帝の崩御に伴い、ようやく常洛が皇帝に即位しました。幼い頃から英邁であった泰昌帝に対し、臣下たちの期待は非常に高まっていました。しかし、即位からわずか1ヶ月で崩御するという悲劇に見舞われました。

泰昌帝の死に関連して発生したのが、「紅丸の案」と呼ばれる事件です。即位後、間もなく下痢を催した泰昌帝に対して、鴻臚寺丞の李可灼が紅丸（丸薬）を勧めました。泰昌帝は一つ服用したところ、一時的に気分が良くなったものの、もう一つ服用した翌日に急逝したとされています。この事件は陰謀であると見なされ、背後関係を徹底的に追及すべきであるという声が上がりました。まず、丸薬を勧めた李可灼が弾劾され、次いで、紅丸を勧めるのを止めなかったという理由で大学士の方従哲も弾劾されました。

改元は、前皇帝が崩御した翌年の元日に行われるのが通例でした。そのため、泰昌という元号も用意されていましたが、泰昌帝があまりにも早く崩御したため、改元を行う時間がありませんでした。このまま新しい皇帝が即位し、次の元日からその皇帝のための新しい元号を使うと、泰昌という元号が存在しなくなり、泰昌帝の存在自体が消滅してしまう可能性がありました。そのため、臣下たちは協議を行い、その年の7月以前を万暦、8月以降を泰昌とすることに決定しました。

宗室

后妃

孝元貞皇后郭氏 - 皇子時代の正室。皇后を追号されました。
孝和皇太后王氏 - 皇子時代の側室。天啓帝から皇太后を追号されました。
孝純皇太后劉氏 - 皇子時代の側室。崇禎帝から皇太后を追号されました。
康妃李氏
荘妃李氏
懿妃傅氏
選侍趙氏
選侍王氏
敬妃馮氏
慎嬪邵氏
定嬪郭氏
恪嬪李氏
襄嬪張氏
夏氏

男子

天啓帝 朱由校
簡懐王 朱由㰒 - 夭折。
斉思王 朱由楫 - 夭折。
懐恵王 朱由模 - 夭折。
崇禎帝 朱由検
湘懐王 朱由栩 - 夭折。
慧昭王 朱由橏 - 夭折。

女子

懐淑公主 朱徽娟 - 母は孝元皇后郭氏。早世。
悼淑公主 - 夭折。
悼寧公主 - 夭折。
悼康公主 - 夭折。
悼順公主 - 夭折。
悼恭公主 - 夭折。
寧徳公主 朱徽妍 - 母は懿妃傅氏。劉有福に降嫁。
遂平公主 朱徽婧 - 母は懿妃傅氏。斉賛元に降嫁。
楽安公主 朱徽媞 - 母は康妃李氏。鞏永固に降嫁。
悼温公主 朱徽姃 - 母は慎嬪邵氏。夭折。

登場作品

テレビドラマ

『白髪魔女伝〜美しき復讐鬼〜』(1999年) 演：王伯昭
* 「大明嬪妃」(2010年、日本未公開) 演：宋洋

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