天啓帝

天啓帝（てんけいてい）は、明朝の第16代皇帝であり、諱は由校（ゆうこう）、廟号は熹宗（きそう）です。日本では、在位中の元号である天啓を取って、天啓帝と呼ばれることが一般的です。

生涯

天啓帝は、第15代皇帝泰昌帝の長男として生まれました。1620年、父帝が即位後間もなく崩御（暗殺説あり）したため、わずか15歳で帝位を継承しました。しかし、彼の7年間の治世は、宦官の魏忠賢（ぎちゅうけん）と乳母の客氏（かくし）による専横と暴政の時代として知られています。

政治の実権を握った魏忠賢は、政敵であった東林党を徹底的に弾圧しました。当初、東林党の理想論に不満を持っていた人々は、魏忠賢の弾圧を支持しましたが、次第にその矛先が自身にも向かうようになり、後悔することになります。魏忠賢の権勢は増大し、自らを「堯天舜徳至聖至神」と称して神格化を強要、各地に祠を建てさせました。さらには、自分の功績を孔子と並び称えるよう主張し、これに反対する者を次々と粛清しました。

この時期、国内では農民蜂起が頻発し、国外では満洲のヌルハチが後金を建国して勢力を拡大していました。しかし、魏忠賢は賄賂を受け取ることでこれらの問題をないがしろにし、国政は著しく腐敗しました。後金との戦で敗北を重ねても、魏忠賢は賄賂を受け取って不問にしたため、後金の勢力は拡大の一途を辿りました。

天啓7年（1627年）、天啓帝は23歳という若さで崩御しました。皇后や妃嬪が妊娠するたびに、魏忠賢と客氏によって堕胎や殺害が行われ、生まれた男子も皆死亡したため、弟の信王朱由検（後の崇禎帝）が帝位を継ぐことになりました。天啓帝の治世は、明朝衰退を決定づけた暗黒時代として歴史に刻まれています。

宗室

后妃

懿安皇后張氏
皇貴妃范氏、皇貴妃任氏
良妃王氏、純妃段氏、成妃李氏、裕妃張氏
馮氏、胡氏

男子

懐沖太子 朱慈燃 - 水子。母は懿安皇后張氏。
悼懐太子 朱慈焴 - 夭折。母は皇貴妃范氏。
献懐太子 朱慈炅（1624-1626） - 王恭廠大爆発の際に驚死。母は皇貴妃任氏。

女子

永寧公主 朱淑娥 - 夭折。母は皇貴妃范氏。
懐寧公主 朱淑嫫 - 夭折。母は成妃李氏。

参考文献

馮銓『明史』
計六奇『明季北略』
劉若愚『酌中志』巻十四
王士禛『池北偶談』

登場作品

映画

『修羅:黒衣の反逆』（中国・2017年）演：王仁君

ドラマ

「大明嬪妃」（中国・2010年、日本未公開）演：牛禹童
「明珠遊龍」（中国・2012年、日本未公開）演：宋洋
『歓楽無双〜恋する事件帖〜』（中国・2014年）演：翟天臨
「袁崇煥」（中国・2018年、日本未公開）演：黄黌

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