足助町 (豊田市)

愛知県豊田市足助町

足助町は、愛知県豊田市の中央部に位置する、旧東加茂郡足助町の町域にほぼ相当する地域です。東は桑田和町、西は大塚町などに隣接し、巴川と足助川が合流する地点に広がっています。この地は、北部には城山などの山々が連なり、中央部には足助市街地が形成され、南部には香嵐渓を擁する多様な地形を有しています。

地理

北部

北部には、城山をはじめとする深い山野が広がります。稲荷神社が鎮座する足助山、古城があったとされる観音山、御嶽教天王教会の境内である池田山などが点在します。足助川支流のおせん川沿いの狭い道が、北部への唯一の連絡路です。

中央部

中央部には、国道153号、旧国道153号、愛知県道33号瀬戸設楽線が東西に走り、沿道に足助市街地が形成されています。旧国道153号は、現在は国道420号と愛知県道366号に変わり、足助の町並みを縫うように走っています。巴川と足助川の合流地点は谷地形となっており、河岸段丘が広がっています。

南部

南部には、独立丘陵の飯盛山がそびえ、その南には真弓山が連なります。この地域には、愛知高原国定公園の一部である香嵐渓があり、巴川に沿って国道420号が南へ伸びています。室口川沿いの道は、名刹平勝寺へと続いています。

歴史

古代

足助町は、古代には三河国加茂郡に属し、仙陀郷の一部であったと考えられています。縄文時代の遺物が多数出土していますが、弥生時代以降の人の居住を示す痕跡は少ないです。これは、山間部で平地が少なく、古代社会の発達が遅れたためと考えられます。古墳時代の古墳は、陣屋跡古墳のみが確認されています。

中世

平安時代後期には、足助庄が成立し、足助氏がこの地を支配しました。足助氏は、飯盛山城を拠点とし、約150年にわたりこの地を治めました。その後、鈴木氏がこの地を支配するようになり、真弓山城を築きました。戦国時代には、松平氏（後の徳川氏）や今川氏との間で争奪戦が繰り広げられました。

江戸時代

江戸時代には、足助は伊那街道（飯田街道）の宿場町として栄え、塩の中継地としても重要な役割を果たしました。「塩の町」として知られ、三河産の塩と西国産の塩を混ぜて「足助塩」として信濃国へ送っていました。この街道は「中馬街道」とも呼ばれ、現在もその名残を留めています。また、足助は郡政の中心地でもあり、経済・金融の拠点としての役割も担っていました。

明治維新以降

明治時代に入ると、足助は東加茂郡の中心地として発展しました。1889年には足助村が誕生し、1890年には町制を施行し足助町となりました。2005年には豊田市に編入され、現在に至ります。足助町は、歴史的な町並みを残しつつ、観光都市としての発展を続けています。

足助市街地と「足助の町並み」

市街地

足助市街地は、足助川下流域の両岸に発達した河岸段丘上にあり、商店街が連なっています。西町、新町、本町、田町といった歴史的な町並みが残り、明治時代以降には新田町、親王町が加わりました。これらの町は、それぞれ独自の歴史と文化を育んできました。

町並み

「足助の町並み」は、江戸時代から続く伝統的な建築様式を今に伝える貴重な場所です。2011年には、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。この地区では、妻入や平入の町家が連なり、漆喰塗籠めの壁や瓦葺屋根が特徴的です。また、近年では、伝統的な様式を踏襲した建築物も建てられており、景観を守る地域の一体性が感じられます。

香嵐渓

足助町の南西部には、紅葉の名所として知られる香嵐渓があります。ここは愛知高原国定公園の一角をなし、巴川が流れる美しい渓谷です。特に秋には、多くの観光客が紅葉を見に訪れます。また、香嵐渓周辺には、様々な観光施設や飲食店があり、四季を通じて楽しむことができます。

文化財

足助町には、多くの文化財が残されています。足助八幡宮本殿は国の重要文化財に指定されており、室町時代の建築様式を伝えています。また、旧鈴木家住宅も国の重要文化財であり、江戸時代に建てられた町家です。この他にも、絵画、彫刻、工芸品、書跡、考古資料など、多くの文化財が地域に点在しています。

祭事・イベント

足助町では、年間を通して様々な祭事やイベントが開催されています。1月には足助八幡宮七草粥、2月から3月には中馬のおひなさん、4月には足助春まつり、夏にはたんころりん、秋には足助まつりや香嵐渓もみじまつりなど、地域の文化や自然を楽しむことができます。

交通

足助町へのアクセスは、公共交通機関や自家用車が利用できます。名古屋鉄道や愛知環状鉄道を利用し、バスで香嵐渓まで行くことができます。また、東海環状自動車道を利用すれば、名古屋方面や長野方面からもアクセスが便利です。

施設

足助町には、豊田市役所足助支所、豊田市立足助小学校、豊田市立足助中学校、足助資料館、足助中馬館、足助トレーニングセンターなどの施設があります。これらの施設は、地域住民の生活や文化活動を支えるとともに、観光客にも利用されています。

寺社

足助町には、足助八幡宮、足助神社、十王寺、普光寺、宗恩寺、観音寺、香積寺など、多くの寺社があります。これらの寺社は、地域の歴史や信仰を物語る貴重な存在です。香積寺は、紅葉の名所として知られる香嵐渓の歴史とも深く関わっています。

まとめ

足助町は、歴史、文化、自然が豊かに融合した魅力的な町です。古い町並み、美しい自然、そして地域の人々の温かさが、訪れる人々を魅了します。この地域を訪れることで、日本の歴史と文化を深く感じることができるでしょう。

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