足羽川用水

足羽川用水：福井の農業と文化を育む歴史ある用水路

福井県福井市の南東部、1997ヘクタールもの農地を潤す足羽川用水は、足羽川から取水された重要な灌漑用水路です。足羽川頭首工から複数の幹線用水路が分岐し、さらに無数の用水路が網の目のように広がり、地域社会を支える生命線となっています。

世界かんがい施設遺産としての価値

2016年、足羽川幹線用水路を管理する7つの土地改良区からなる足羽川堰堤土地改良区連合の申請により、足羽川用水は福井県内で初めて「世界かんがい施設遺産」に登録されました。これは、長年にわたる地域住民の努力と、用水路が農業や地域社会に貢献してきた歴史的意義を国際的に認められた証です。

用水路の構成と各支流の特徴

足羽川用水は、いくつかの主要な用水路群から構成されています。

徳光用水: 足羽川頭首工を起点とする主要な用水路で、足羽川左岸の農地を潤しています。道の駅一乗谷あさくら水の駅からも近く、その起点となる頭首工は重要な農業インフラです。
徳光下江用水: 槇山地区の400ヘクタールの農地へ水を供給しています。
堂田川: 徳光下江用水の支流で、東郷地区を流れる親水性の高い用水路です。江戸時代には「堂殿川」と呼ばれていた歴史も持ちます。
堂田川用水: 堂田川の整備事業によって、親水空間として生まれ変わりました。
河北用水:
荒木用水:
徳光上江用水:
酒生用水: 酒生上江用水と酒生下江用水から構成されます。
六条用水:
木田用水:
足羽三ヶ用水:
足羽四ヶ用水:
* 社江守用水:

堂田川：親水空間と地域活性化のシンボル

堂田川は、東郷地区の中心部を流れる用水路で、かつては生活排水路としても利用されていました。高度経済成長期には水質悪化が問題となりましたが、県営水環境整備事業によって大規模な改修が行われ、親水性の高い空間へと生まれ変わりました。

1993年から始まった改修事業では、「歴史の流れとの共振」をコンセプトに、暗渠化された用水路の上に親水路を整備。14の個性的な橋が架けられ、総延長511mの親水路、親水公園、遊歩道などが整備されました。地元産の笏谷石をふんだんに使用した護岸や石段は、景観にも配慮されています。

堂田川沿岸には、照恩寺、専徳寺、地蔵院、稲荷神社、歴史的建造物、酒造場、アンテナショップなど、多くの観光資源が点在しており、散策しながら歴史と文化に触れることができます。

また、高さ4mの常夜灯や、籔内佐斗司氏によるカッパのブロンズ像など、ユニークなモニュメントも魅力です。毎年7月には「かわそ祭り」も開催され、地域住民にとって大切な場所となっています。

2006年からは「せせらぎコンサート」も開催され、川床を利用したステージは、独特の雰囲気を醸し出しています。2015年には、堂田川をPRするイメージソング「堂田川〜せせらぎと共に〜」も制作されました。

まとめ

足羽川用水は、農業用水路としての機能に加え、地域社会の活性化、観光資源としての役割も担っています。世界かんがい施設遺産としての登録は、その価値を国際的に示すものであり、これからも福井の農業と文化を支え続ける重要な存在です。その歴史と取り組みを知ることで、私たちはこの地域の豊かな自然と文化への理解を深めることができるでしょう。

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