足羽與志子
足羽 與志子（あしわ よしこ、1957年生）は、日本の文化人類学者であり、一橋大学名誉教授、政策研究大学院大学客員教授を務める研究者です。
文化、宗教、アート、価値生成、文化政策、グローバリゼーション研究を主要な専門分野とし、アジア（スリランカ、中国、日本など）および北米を主なフィールドとして精力的に研究活動を展開しています。その学術的貢献は国際的にも高く評価されており、特に2024年には、共著書が東アジア人類学会（Society for East Asian Anthropology）の権威あるFrancis H.K. Hsu Book Prizeにおいて特別賞を受賞しました。
経歴
静岡県静岡市に生まれ、静岡雙葉高等学校を卒業。1980年に大阪大学人間科学部を卒業し、学士号を取得しました。その後、ロータリー財団奨学生としてコロンボ大学シンハラ学部大学院、フルブライト財団奨学生としてハーバード大学人類学部大学院に留学し、文化人類学の研究を深めました。1986年には一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程を単位取得満期退学。一橋大学では、1994年に提出した論文「ベラワーの民族誌：社会変化と経験世界」により、博士（社会学）の学位を取得しました。
教育者・研究者としてのキャリアは、1986年に神戸山手女子短期大学教養学科専任講師として始まりました。1989年には厦門大学（中国）の客員教師を務め、中国におけるフィールドワークを開始。1991年から1993年にかけては、新渡戸フェローとしてハーバード大学人文科学研究科特任講師を務めるなど、海外での教歴も豊富です。1995年、一橋大学社会学部助教授に着任し、1999年には同大学院社会学研究科教授に昇任。長年にわたり後進の指導にあたり、2021年には特任教授を経て、名誉教授の称号を授与されました。この間、コロンビア大学（フルブライト上級フェロー）、厦門大学、コロンボ大学などで客員研究員や客員教師を歴任し、アジアやヨーロッパを中心とした多くの海外大学で講義や学術会議を行っています。一橋大学においては、大学院社会学研究科に新設された地球社会専攻の創設メンバーとしてカリキュラム構築に貢献したほか、同学部の「平和と和解の研究センター」を設立し、共同代表として平和学研究の推進にも尽力しました。
研究と貢献
足羽氏の研究は、広範な専門領域をカバーしていますが、特に現代中国における仏教の復興プロセス、国家との複雑な関係、そして仏教のグローバル化に関する研究は、長期にわたるフィールドワークに基づいたその先駆性で高く評価されています。また、スリランカ研究の第一人者としても知られ、著作活動だけでなく、日本政府派遣選挙監視団副団長を務めるなど、同国の平和構築に学術的知見と実践の両面から貢献してきました。
文化人類学の視点から、文化政策の実践的な課題や、文化と政治権力との相互作用についても深く掘り下げ、具体的な政策提言も行っています。国際的な研究活動にも積極的に参加しており、2023年からはシンガポール政府主催の国際会議「The International Conference on Cohesive Societies」の顧問を務めています。さらに、文部科学省の科学研究費助成における研究代表を務めるほか、近年では米国のHenry Luce財団から委託された国際共同研究「中国仏教のグローバル化：国家、コミュニティ、宗教の実践」（2020-2026）の研究代表として、大規模な国際プロジェクトを推進しています。
受賞歴
2024年：東アジア人類学会（Society for East Asian Anthropology）Francis H.K. Hsu Book Prize 特別賞
受賞対象：David Wank氏との共著 `Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China` (Columbia University Press, 2023)
アメリカ宗教学会（American Academy of Religion）Award for Excellence in the Study of Religion (Analytical-Descriptive Studies部門) 最終選考
対象：`Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China` (Columbia University Press, 2023)
主な著作
Metamorphosis of Chinese Buddhism of China’s New Era: Between State, Culture and Religion. Ed. by Yoshiko Ashiwa, David Wank, and Ji Zhe, Bloomsbury (2025)
Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China. Co-Authored with David Wank, Columbia University Press (2023)
Making Religion, Making the State; The Politics of Religion in Modern China. ed.by Yoshiko Ashiwa and David Wank, Stanford University Press（2007）
共編著：
Buddhism after Mao(eds. Ji Jia, others) University of Hawaii Press. (2019)
『平和と和解：思想、経験、方法』彩流社（2015）
『東アジアの未来』 一橋大学東アジア政策研究プロジェクト編 東洋経済社(2012)
『平和と和解の思想をたずねて』 大月書店 （2010）
『宗教人類学入門』[弘文堂]
『アメリカが語る民主主義』[ミネルヴァ書房]
翻訳：
ジェイムズ・クリフォード,ジョージ・マーカス『文化を書く』（春日直樹他共訳）紀伊國屋書店(1996/2019)
主な論文：
「ファッション、宗教、美術館：メトロポリタン美術館特別展」『国立新美術館紀要No.5』（2018）
「スリランカにおける仏教寺院壁画と現代の寓話」 『国立新美術館紀要No.3』(2016)
「イメージを巡る比較と始原の探求について」(書評論文) 『国立新美術館紀要 No.2』(2015)
社会的活動
足羽氏は、研究活動に加えて、多岐にわたる公共的な活動にも貢献しています。静岡県立大学グローバル地域研究センターや国立市の男女共同参画社会調査委員会、文化芸術条例策定委員会の委員を務めたほか、日本学術振興会や文部科学省の各種委員も歴任しています。国立新美術館やICOM日本委員会の評議員を務めるなど、文化・芸術振興への関わりも深く、日本政府派遣スリランカ選挙監視団副団長としての活動は、その専門知識を社会に直接還元する実践例と言えます。
足羽與志子は、文化人類学の視点から、現代社会の複雑な現象を深く分析し、学術研究のフロンティアを切り拓くと同時に、政策提言や国際協力といった実践を通じて、その知見を社会に還元し続けています。
文化、宗教、アート、価値生成、文化政策、グローバリゼーション研究を主要な専門分野とし、アジア（スリランカ、中国、日本など）および北米を主なフィールドとして精力的に研究活動を展開しています。その学術的貢献は国際的にも高く評価されており、特に2024年には、共著書が東アジア人類学会（Society for East Asian Anthropology）の権威あるFrancis H.K. Hsu Book Prizeにおいて特別賞を受賞しました。
経歴
静岡県静岡市に生まれ、静岡雙葉高等学校を卒業。1980年に大阪大学人間科学部を卒業し、学士号を取得しました。その後、ロータリー財団奨学生としてコロンボ大学シンハラ学部大学院、フルブライト財団奨学生としてハーバード大学人類学部大学院に留学し、文化人類学の研究を深めました。1986年には一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程を単位取得満期退学。一橋大学では、1994年に提出した論文「ベラワーの民族誌：社会変化と経験世界」により、博士（社会学）の学位を取得しました。
教育者・研究者としてのキャリアは、1986年に神戸山手女子短期大学教養学科専任講師として始まりました。1989年には厦門大学（中国）の客員教師を務め、中国におけるフィールドワークを開始。1991年から1993年にかけては、新渡戸フェローとしてハーバード大学人文科学研究科特任講師を務めるなど、海外での教歴も豊富です。1995年、一橋大学社会学部助教授に着任し、1999年には同大学院社会学研究科教授に昇任。長年にわたり後進の指導にあたり、2021年には特任教授を経て、名誉教授の称号を授与されました。この間、コロンビア大学（フルブライト上級フェロー）、厦門大学、コロンボ大学などで客員研究員や客員教師を歴任し、アジアやヨーロッパを中心とした多くの海外大学で講義や学術会議を行っています。一橋大学においては、大学院社会学研究科に新設された地球社会専攻の創設メンバーとしてカリキュラム構築に貢献したほか、同学部の「平和と和解の研究センター」を設立し、共同代表として平和学研究の推進にも尽力しました。
研究と貢献
足羽氏の研究は、広範な専門領域をカバーしていますが、特に現代中国における仏教の復興プロセス、国家との複雑な関係、そして仏教のグローバル化に関する研究は、長期にわたるフィールドワークに基づいたその先駆性で高く評価されています。また、スリランカ研究の第一人者としても知られ、著作活動だけでなく、日本政府派遣選挙監視団副団長を務めるなど、同国の平和構築に学術的知見と実践の両面から貢献してきました。
文化人類学の視点から、文化政策の実践的な課題や、文化と政治権力との相互作用についても深く掘り下げ、具体的な政策提言も行っています。国際的な研究活動にも積極的に参加しており、2023年からはシンガポール政府主催の国際会議「The International Conference on Cohesive Societies」の顧問を務めています。さらに、文部科学省の科学研究費助成における研究代表を務めるほか、近年では米国のHenry Luce財団から委託された国際共同研究「中国仏教のグローバル化：国家、コミュニティ、宗教の実践」（2020-2026）の研究代表として、大規模な国際プロジェクトを推進しています。
受賞歴
2024年：東アジア人類学会（Society for East Asian Anthropology）Francis H.K. Hsu Book Prize 特別賞
受賞対象：David Wank氏との共著 `Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China` (Columbia University Press, 2023)
アメリカ宗教学会（American Academy of Religion）Award for Excellence in the Study of Religion (Analytical-Descriptive Studies部門) 最終選考
対象：`Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China` (Columbia University Press, 2023)
主な著作
Metamorphosis of Chinese Buddhism of China’s New Era: Between State, Culture and Religion. Ed. by Yoshiko Ashiwa, David Wank, and Ji Zhe, Bloomsbury (2025)
Space of Religion: Temple, State and Communities of Buddhism in Modern China. Co-Authored with David Wank, Columbia University Press (2023)
Making Religion, Making the State; The Politics of Religion in Modern China. ed.by Yoshiko Ashiwa and David Wank, Stanford University Press（2007）
共編著：
Buddhism after Mao(eds. Ji Jia, others) University of Hawaii Press. (2019)
『平和と和解：思想、経験、方法』彩流社（2015）
『東アジアの未来』 一橋大学東アジア政策研究プロジェクト編 東洋経済社(2012)
『平和と和解の思想をたずねて』 大月書店 （2010）
『宗教人類学入門』[弘文堂]
『アメリカが語る民主主義』[ミネルヴァ書房]
翻訳：
ジェイムズ・クリフォード,ジョージ・マーカス『文化を書く』（春日直樹他共訳）紀伊國屋書店(1996/2019)
主な論文：
「ファッション、宗教、美術館：メトロポリタン美術館特別展」『国立新美術館紀要No.5』（2018）
「スリランカにおける仏教寺院壁画と現代の寓話」 『国立新美術館紀要No.3』(2016)
「イメージを巡る比較と始原の探求について」(書評論文) 『国立新美術館紀要 No.2』(2015)
社会的活動
足羽氏は、研究活動に加えて、多岐にわたる公共的な活動にも貢献しています。静岡県立大学グローバル地域研究センターや国立市の男女共同参画社会調査委員会、文化芸術条例策定委員会の委員を務めたほか、日本学術振興会や文部科学省の各種委員も歴任しています。国立新美術館やICOM日本委員会の評議員を務めるなど、文化・芸術振興への関わりも深く、日本政府派遣スリランカ選挙監視団副団長としての活動は、その専門知識を社会に直接還元する実践例と言えます。
足羽與志子は、文化人類学の視点から、現代社会の複雑な現象を深く分析し、学術研究のフロンティアを切り拓くと同時に、政策提言や国際協力といった実践を通じて、その知見を社会に還元し続けています。
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