身体疾患による精神障害

身体疾患による精神障害

身体疾患が原因で現れる精神障害とは、脳疾患や各種身体疾患が関連している精神的な問題のことです。この状態は、認知機能の障害や感覚に基づく症候群の形で現れます。アメリカ精神医学会が定めるDSM-IVでは、この精神障害は一般身体疾患によるものであるとされています。

定義

この疾患の診断には、身体疾患が過去の医療歴や検査によって確認され、その結果としての精神的症状が身体疾患の生理学的な機序と関連していることが求められますので、一般的な精神疾患の特性から外れる年齢や重篤な症状は、診断の手がかりとなります。DSM-IVは認知症やせん妄、健忘、精神病性障害、気分障害、不安障害、性機能障害、睡眠障害にこの症状を記載しています。

このような障害の背後には、例えば甲状腺機能異常や糖尿病、高プロラクチン血症、さらには気管支喘息やクッシング症候群など、幅広い身体疾患が関与していますが、これらはあくまで一部であり、他にも多くの病気が影響を及ぼすことがあります。

器質性の定義

精神疾患の中には、身体疾患や薬物によって引き起こされないものを示すために「原発性」と呼ばれる言葉が使われます。DSM-III-Rの当初はこれらが「器質性障害」として分類されていましたが、それには一般身体疾患由来の精神障害や物質誘発性障害も含まれていました。このため、原発性精神疾患には生物学的要因がないとする誤解を生むことがありました。

国際疾病分類のICD-10では、身体疾患に関連した精神障害としてF00-F09の範疇が設定されていますが、向精神薬による影響は便宜上別のカテゴリーとして取り扱われています。

分類

認知機能の障害

認知機能に関する障害は、アルツハイマー型の認知症や脳血管性認知症などより具体的に示されます。これらの障害は意識が明瞭な状態でありながら、記憶や理解、計算などの高次機能に障害をもたらすことがあります。認知症の初期症状はしばしばうつ病が原因と誤解されるため、診断の際には慎重に他の要因との鑑別を行う必要があります。ICD-10では、認知症をF00とし、さまざまな原因による障害を包括的に扱っています。

その他の症状

身体疾患や脳の損傷とは無関係に発現する精神的な症状もあります。ICD-10はF04として器質性健忘症候群やF05のせん妄など、身体疾患由来の他の精神障害を分類します。

総括

DSM-IVでは身体疾患による精神疾患が多軸評定においてIII軸に位置付けられています。身体的な健康が精神に与える影響を理解することは、診断と治療の両方において非常に重要です。精神障害を効果的に治療するためには、身体疾患への理解とその相互作用を考慮することが欠かせません。これらの疾患に対する理解を深めることで、より良い支援が可能となります。

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