車輪配置 4-6-0

車輪配置 4-6-0 の概要

4-6-0型機関車は、アメリカにおいて牽引力を強化する目的で設計された車輪配置で、2軸の先輪と3軸の動輪から構成されています。アメリカ式分類名では「テンホイラー」として知られています。この特徴的な車輪配置の特許は1854年にウィリアム・ノリスが取得しましたが、アイデア自体はエリー鉄道のジョン・ブランドにより以前に提案されていたとされています。

当初は、4-4-0型機関車に比べ、動輪の数が増えたことで線路への追随性を調整するのが難しかったため、広く普及することはありませんでした。しかし、1850年代に入ると、ペンシルバニア鉄道やボルチモア＆オハイオ鉄道などでの採用が進みました。これにより、高速で安定した牽引力を提供する機関車として、特に高速貨物や重量旅客列車に使用されるようになりました。

1870年代には、4-4-0と激しく競争しながらも次第にその存在が広まり、1910年頃までは旅客列車の主力機関車として認識されました。しかし、その後は4-6-2型機関車やそれ以上の動輪を持つ機関車による影響を受け、次第に存在感が薄れていきました。

ヨーロッパにおける導入

ヨーロッパでは、4-6-0型機関車の導入が遅れました。最初に製造されたのは1880年にイギリスのニールソン社によるもので、インド向けのインダス・バレー官営鉄道L型がそれに該当します。欧州において最初に使用された4-6-0は、1884年にイタリア上部鉄道が製造したヴィットリオ・エマヌエレ型であると言われています。この機関車はトリノからジェノバへ向かう急勾配の路線を新しい緩やかな勾配に変更する際、貨物客両方に対応した設計が評価されました。この特異な機種は、煤煙対策に優れたウェールズ炭を使用する好条件によって、130tの列車を時速40kmで牽引できる能力を持っていました。しかし、実際には2-6-2型機関車の方が高い評価を得ていたため、4-6-0型はそこまで注目されませんでした。

イギリスでは、1894年にハイランド鉄道によって製造された「ビッグ・グッズ」型が国内初の4-6-0の使用例であり、この機関車の成功はイギリスにおける機関車の大型化を促進する要因とはなりました。1930年代に入ると、4-6-0型はイギリスで最も広く使用されるテンダー型機関車となり、その後も国鉄標準4型や5型として1957年まで生産が続けられました。この型式は蒸気機関車が引退するまで現役で使用されていました。

日本における採用

日本では1911年に幹線の旅客用に、アメリカ、イギリス、ドイツの3社から別々に依頼された機関車が初の4-6-0採用の試みでした。アメリカのアルコ社は4-6-2型（パシフィック型）を提案しましたが、この結果、国内で本格的に製造された機関車はパシフィック型のC51が初となり、これが最初で最後の4-6-0型の導入に終わりました。さらに、1958年にはイギリスで特異な例として、蒸気機関車の足回りを流用したテンホイラーの機械式ガスタービン機関車GT型が製造されるという事実もあります。

4-6-0型機関車は、多くの国でさまざまなモデルが製造されており、特にイギリスではグレート・ウェスタン鉄道や国鉄など、多くの形態があります。日本でも国鉄8700形や8800形などが存在し、これらは当時の鉄道技術の進化を象徴するものとなっています。

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