車輪配置 4-6-2

車輪配置4-6-2の概要

車輪配置4-6-2（しゃりんはいち4-6-2）は、車輪の配置が先輪2軸、動輪3軸、従輪1軸という形を持つ蒸気機関車の一形式であり、アメリカの鉄道において「パシフィック」とも称されています。この配置は、1889年にシカゴ・ミルウォーキー&セントポール鉄道においてテンホイラーの改造を通じて登場しましたが、その本来の目的は後進時の脱線防止であり、大火室を支えるためのものではありませんでした。

1901年、ニュージーランド鉄道から「国産の低質炭に対応する大きな火床」を求める注文がボールドウィン・ロコモティブ・ワークスに入りました。最初の提案は不評を買ったキャメルバックでしたが、技師長アルフレッド・ビーティーは独自のアイデアを貫き、一般的な機関車に大きな火室を支える従輪を持たせることを提案しました。この結果、4-6-2のニュージーランド鉄道Q型機関車が誕生しました。この機関車は動輪が1245mmと小さく、当初は高速運転を目指していなかったものの、翌1902年にはミズーリ・パシフィック鉄道向けに大きな動輪を持つ標準軌の機関車が作られ、こちらは高速運転を目的としていました。アメリカの通称「パシフィック」は、特に太平洋方面で業務を行っていたユーザーに由来しています。

その後、この形式は各国で導入され、高速と安定性、余裕のある火室設計が評価され、多くの国の旅客機関車として広く使われるようになります。例えば、フランスでは1907年にパリ・オルレアン鉄道が最初に4-6-2を導入しました。これには、前半部分がフレームに比べて狭くなっている台形火室継ぎの構造が見られ、従輪が荷重を支える役割を果たしました。一方、ドイツでは、バーデン大公国のIVf形が最初の4-6-2として1907年に登場し、その後南ドイツ各鉄道でもこの形式が広まりました。特に1920年には、普通の広火室利用の01形が量産に選ばれることとなりました。

イギリスの最初の4-6-2は1908年にグレートウェスタン鉄道のグレートベアで登場しました。しかし、重すぎた軸重のため量産には至らなかったものの、1922年のLNER A1形からは本格的に製造が始まりました。日本では、特急列車牽引用の最初の機関車8900形が1911年に導入され、4-6-2の形式が採用されました。

各国の4-6-2機関車

• - ニュージーランド: ニュージーランド鉄道Q型
• - アメリカ: ペンシルバニア鉄道K4s形
• - イギリス: LNER A1形、A3形、A4形など
• - ドイツ: ドイツ国鉄01形、03形など
• - 満洲国: 南満州鉄道パシイなど
• - 日本: 国鉄C51形、C53形、C54形など

これらの機関車はそれぞれの国で特徴的な役割を果たし、蒸気機関車の歴史において重要な位置を占めています。4-6-2は、高速旅客輸送のために設計され、その特性から今でも多くの鉄道愛好者や歴史研究者に語り継がれています。

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