方面軍

方面軍についての詳細



方面軍（ほうめんぐん）とは、主に日本陸軍において使用される軍隊の部隊編成の一形態であり、複数の軍（army）を統括する役割を果たしている。この単位は、複数の軍が集まって編成され、さらにこれらの方面軍が集まることで総軍（theater army）を形成する。日本陸軍以外のアメリカ軍やイギリス軍にはこのような用語は存在せず、日本陸軍の内部で特有な位置づけを持っている。

日本陸軍における方面軍の歴史


日本陸軍における方面軍は、日中戦争に突入するまでその姿を見せていなかった。日露戦争の際は、第1軍から第4軍、鴨緑江軍、遼東守備軍などが存在したが、これらはすべて満洲軍という総軍の下に位置していた。戦争の終息によって設けられた朝鮮軍、台湾軍、関東軍、支那駐屯軍なども警備の役割を担い、方面軍と呼ぶに足りないものであった。

日中戦争の引き金となった盧溝橋事件が発生した1937年、支那駐屯軍が第1軍へと改編され、初の方面軍である北支那方面軍が新設された。続いて、同年11月には中支那方面軍が編成されたものの、翌年には中支那派遣軍として改編された。南支那方面軍は1940年に設立されたが、1941年には再び第23軍に改編され、太平洋戦争開戦時には北支那方面軍ただ一つの存在に留まっていた。しかし、戦局の激化とともに新たな方面軍が次々と設立され、終戦時には合計17個の方面軍が存在したという歴史がある。

方面軍とその機能


方面軍の通常の編制記号は「HA」を使用し、例えば第1方面軍は「1HA」などと表現されている。これらの方面軍は陸軍大将または中将が司令官として任命され、指揮を取っていた。日本陸軍では軍団に相当する単位が存在しなかったため、師団は直接軍に従属しており、他国軍の「軍」と同等の役割とされていたことが特徴である。

方面軍の一覧



他国との比較と関連用語


日本陸軍の方面軍は、同時にアメリカやイギリス軍の「野戦軍」や、ソビエト連邦の「戦線」とは異なる性格を持つ。特に、ソビエト連邦の「戦線」はNATOの用語では「軍集団」とされ、機能や役割が異なる。一方、陸上自衛隊には「方面隊」という名称が使われているが、これは軍という表現を避けるためであり、正式には「Army」と訳されている。

以上のように、方面軍は日本陸軍において重要な役割を果たした部隊編制単位であり、その歴史や構成は他国の軍とは異なる独特の特徴を持っている。

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