軍事参議院

軍事参議院の概要

軍事参議院（ぐんじさんぎいん）は、日本における軍事に関する最高の諮問機関であり、1903年に設置され1945年に廃止されました。この機関は、天皇に対して軍事的な助言を行うことを目的としていました。設立の背景には、1887年の軍事参議官条例に基づく参議官制度の改編があり、陸海軍の幹部が集まる機関として構想されました。

沿革

前史と設置の経緯

軍事参議院の設立以前、1887年に軍事参議官の制度が導入され、その制度はドイツから輸入されたメッケル少佐の提案に起因しています。その制度では、陸軍と海軍の間で利害調整が難しく、特に海軍側の不満が高まりました。そのため、1901年には陸軍大臣の児玉源太郎が新たに軍事参議院を創設する構想を発表しましたが、海軍の強い反対により暫らくは進展が見られませんでした。

1903年に至り、海軍大臣の山本権兵衛の提案に基づき、陸海軍が共に意思を持つ諮問機関としての形が整い、最終的に第294号の勅令により軍事参議院が設置されました。

運用と機能

軍事参議院は、陸軍と海軍の指導者からなる参議官が集まり、天皇の諮詢を受けて意見を上奏します。参議官は古参の軍人で構成され、軍事政策や戦略を議論する重要な役割を果たしました。議長は古参の参議官から選ばれ、特急時には院議を経ずに直接天皇への諮詢も行うことができました。

しかし、軍事参議官の多くは名誉職に近い形となり、重要な政策決定に対して十分な権限を持っていなかったことから、実質的な影響力は限られていました。特に1936年の二・二六事件では、軍事参議官による非公式な会議が行われ、一時的に混乱が生じましたが、最終的には昭和天皇の討伐命令に従い、指導的立場が確認されました。

廃止

1945年に日本が降伏した後、軍事参議院は同年11月30日に元帥府条例とともに廃止されました。それ以降、軍事に関する諮問機関は設置されず、もう一度その形態での議論は行われませんでした。

組織の構成

軍事参議院は、以下のような構成員で形成されました：

• - 議長：古参の軍事参議官から選出され、緊急時には独自に諮問に対応する権限が与えられました。
• - 軍事参議官：元帥、陸軍大臣、海軍大臣、参謀総長など、陸海軍の高官や特に親補された将官から構成されました。
• - 幹事長：侍従武官長または他の将官が指定され、庶務を担当しました。

このように軍事参議院は、戦時中の日本において重要な役割を果たしながらも、その権限や機能には多くの制約がありました。歴史を通じて、軍事参議院は日本の軍事政策における一つの象徴として位置づけられます。

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