軍人読法

軍人読法（ぐんじんどくほう）

軍人読法は、大日本帝国における軍人及び軍属が入隊・任用の際に宣誓を行うために読み上げられた文書です。この文書は、陸軍や海軍に所属する軍人たちに対して、彼らが守るべき道徳的な原則を定める役割を果たしました。特に、軍人勅諭と併せて、帝国軍人や軍属の行動基準を明確にしたものであり、その内容は厳格なものでした。

歴史的背景

軍人読法は、明治5年（1872年）に兵部省から布告され、当初は中世ドイツの騎士の誓詞に由来していました。その後、明治15年（1882年）に改正され、より具体的な内容が盛り込まれました。特に、陸軍省が出した達文書によって、その内容が明確にされたことは、軍人たちにとって重要な意味を持ちました。

この文書の要旨は、皇国のために機能すること、そして国家を守ることが軍人の使命であるという思想に基づいています。前文には、その信条が述べられ、続く条文においてはさまざまな徳目が列挙されました。

内容と条文

軍人読法の内容は、第一条から第七条にわたる原則で構成されており、純粋な心で忠誠を尽くすことから始まります。以下の徳目が、順に守るべき事柄として記されています：敬礼、信義、温良、服従、勇武、勤労、分別、質素、重厚、名誉、そして廉恥。これらは全て、軍人が身をもって実践すべき道徳的価値観を強調しており、戦時だけでなく平時においても遵守すべきものでした。

また後文では、国家の法律や規則を守ることの重要性を訴え、法律違反に対する厳しい観念も提示されました。これにより、軍人の行動が法の支配の元で行われることを規定しました。

廃止と影響

軍人読法は、昭和9年（1934年）11月30日に廃止されるまで、多くの軍人に受け継がれてきました。これにより軍人及び軍属の倫理観や行動指針が大きく影響を受け、この制度をもとに形成された価値観が戦前から戦中の日本の軍事社会を支える要素となりました。

ただし、軍属読法と呼ばれる別の文書も存在しており、こちらは古くからあった制度でしたが、軍人読法の変遷と同時に改正が行われ、軍属に対しても同様に宣誓を促す内容に改められました。

このように、軍人読法は大日本帝国の軍人にとって単なる誓いの文書ではなく、彼らの日常の行動や心構え、国家への忠誠心を形作る重要な要素でありました。

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