軸受合金

軸受合金は、機械の回転部分を支える軸受（ベアリング）の材料として用いられる合金です。特に、エンジンのクランクシャフトやコンロッドなど、高い負荷がかかる部分に使われるプレーンメタルベアリングの材料として、様々な特性を持つ合金が開発されてきました。

軸受合金には、摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れていること、軸とのなじみが良いこと、そして熱伝導性が高いことなどが求められます。これらの特性を満たすために、様々な金属が組み合わされ、それぞれの合金が独自の特性を持っています。

以下に、代表的な軸受合金の例を挙げます。

ホワイトメタル

ホワイトメタルは、スズを主成分とし、アンチモンや銅などを加えた合金です。比較的柔らかく、軸とのなじみが非常に良いのが特徴です。そのため、低速・低荷重の軸受によく使用されます。自己潤滑性も高く、油膜が切れても焼き付きにくいという利点があります。

ケルメットメタル

ケルメットメタルは、銅を主成分とし、20～50%の鉛を加えた合金です。鉛を添加することで、摩擦係数を下げ、耐摩耗性を向上させています。また、鉛は固体潤滑剤としても機能するため、潤滑油が不足した場合でも、焼き付きを起こしにくいという特徴があります。高荷重、高速回転に対応できるため、自動車エンジンなどの軸受に広く採用されています。

アルミニウム合金

アルミニウム合金は、アルミニウムを主成分とし、スズを6～30%程度加えた合金です。軽量で熱伝導性が高く、高速回転・高荷重の環境下でも優れた性能を発揮します。また、耐食性にも優れているため、様々な環境で使用できます。

その他の軸受材料

銀は、非常に優れた軸受材料ですが、高価であるため、特殊な用途に限られます。青銅や鉛青銅は、比較的低負荷の軸受に使用されます。これらの合金は、優れた耐食性や自己潤滑性を持ちますが、高荷重には向いていません。

軸受合金は、使用される環境や条件によって最適なものが異なります。それぞれの合金が持つ特性を理解し、適切な材料を選択することが、機械の安定した動作を維持するために重要です。今後も、より高性能で信頼性の高い軸受合金の開発が期待されています。

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