輪島直幸

輪嶋直幸は、1949年8月2日に北海道磯谷郡蘭越町で生まれた日本の体操指導者、教育者であり、現在は武蔵野学院大学の名誉教授を務めている人物です。特に、NHKの子ども向け番組『おかあさんといっしょ』における活動や、国民的な健康習慣であるNHKラジオ体操・テレビ体操の指導者としての功績で広く知られています。

体操との関わりは深く、日本体育大学体育学部体育学科で専門的に学び、1972年に同大学を卒業しました。大学在学中の1971年4月には、既にNHKの長寿番組『おかあさんといっしょ』（当時は『うたのえほん』という番組名でした）に出演を開始し、6代目たいそうのおにいさんに就任しました。この役割を通じて、輪嶋氏は多くの子どもたちに体操の楽しさを伝えました。たいそうのおにいさんとして担当した体操は、就任から1974年3月までは「ジャンポンポン」、そして1974年4月からは番組を退任するまで「地球をどんどん」でした。これらの体操は当時の子どもたちの間で人気を博し、共に体を動かす時間を届けました。

7年間にわたるたいそうのおにいさんとしての任期を1978年3月に終えた後も、輪嶋氏は番組から離れることはありませんでした。同年4月からは、総合司会という新たな立場で引き続き『おかあさんといっしょ』に出演しました。この時期には、現在の番組の定番コーナー「ハイ・ポーズ」のルーツとも言える親子体操のコーナー「親子たいそう」や、エンディングの体操「ブンブンホイ」などに登場し、子どもたちだけでなく保護者も交えた体操指導を行いました。当時の番組を共にした出演者には、4代目うたのおにいさんの宮内良、13代目うたのおねえさんの奈々瀬ひとみ、そして8代目の体操指導者である瀬戸口清文らがおり、彼らと共に番組内で歌唱コーナーに参加するなど、多彩な才能を発揮しました。1981年3月には、宮内氏、奈々瀬氏と共に番組を卒業しました。

『おかあさんといっしょ』卒業後も、輪嶋氏は体操指導者としてのキャリアを精力的に続けました。特に幼児向けの番組や教材における体操の指導や監修に多く携わり、広く親しまれている体操「あ・い・うー」の監修も担当しました。そして、1985年春からは、NHKの『ラジオ体操』および『テレビ体操』の指導者として抜擢されました。これは、子ども向け番組から一転し、全国の視聴者、特に成人の健康づくりをサポートする役割でした。2000年秋までの約15年半にわたり、毎朝あるいは日中に放送されるこれらの番組を通じて、日本の国民的健康習慣であるラジオ体操・テレビ体操を指導し、幅広い世代の健康増進に貢献しました。

体操指導者としての第一線から退いた後は、教育者としての道を歩みました。武蔵野学院大学の教授として、後進の指導にあたり、その専門知識と経験を伝えました。現在は同大学の名誉教授として、その功績を称えられています。

『おかあさんといっしょ』や『ラジオ体操・テレビ体操』といった国民的な番組以外にも、『クイズ百点満点』など、他のNHK番組にも出演経験があります。長年にわたり、体操を通じて日本の多くの人々の健康と笑顔を支えてきた、日本の体操指導史において重要な位置を占める人物と言えるでしょう。

もう一度検索