輸出自主規制

輸出自主規制とは

輸出自主規制（Voluntary Export Restraint、略称VER）は、特定の輸出品目について輸出国が自主的に数量を制限する貿易政策の一種です。この制度は一般的に、輸入国からの政治的圧力を背景に実施されることが多いです。輸出国は、輸入割当や関税などの保護主義的措置を避けるため、自主的に輸出を抑制することが得策であると判断する場合に、この規制を行います。特に不完全競争の市場において、輸出企業はこの措置によって利益を増やすことが期待されます。

特徴と運用

輸出自主規制は、輸入国が特定の製品や輸出国、輸出数量に対して制限を加え、輸出国がそれに従う形で行われます。また、貿易に関する政府間の協定（GATT）underでは、通常の環境下で政府が貿易相手国の輸出量に対して制限を設けることは禁止されています。しかし、実際にはどの程度政府がこの規制に関与しているかは、明確には分かっていません。

歴史

輸出自主規制は1930年代から存在し、繊維や靴、鉄鋼、自動車など様々な分野で適用されてきました。特に1980年代には、日本からアメリカへの輸出に関する自主規制が頻繁に行われました。1994年のウルグアイ・ラウンドでは、大部分の輸入国に対して輸出自主規制を行わないことが合意されましたが、例外もありました。

主な運用方法

輸出自主規制には主に二つの運用方法があります。一つは「一方向的輸出制限」で、これは輸出国が輸出数量に対する制限を設ける方法です。輸出企業はこの制限を守るため、必要に応じて輸出ライセンスを申請する必要があります。もう一つは「協定に基づく輸出制限」で、これは輸出国と輸入国の政府が合意を結び、協定を基に行われる制限です。

1981年の自動車規制

1981年、日本からアメリカへの自動車輸入に関する輸出自主規制が行われました。輸出数量の上限は年間168万台と定められ、3年後にはこの設定を見直す意図がありましたが、貿易赤字の拡大などの要因で、制限は延長され、最終的には1994年に解除されるまで続きました。この自主規制下で、企業はアメリカ国内に生産拠点を設けることに舵を切り、特に南部に工場を移転する企業が増えました。

輸出自主規制により、輸出企業は出荷可能台数が限られたため、残された商品でより高い利益を得るための品質向上に努めました。その結果、ホンダやトヨタ、日産などの企業は、競争を優位に進める形で規模を拡大し、高級ブランドの設立につながる成果を上げることができました。

結論

輸出自主規制は公正で非差別的であるべきとの定義があるものの、実際の適用や政府の関与に関する基準はあいまいです。この制度は歴史的に見ても、企業の経済的利益や産業構造にも影響を及ぼしてきたことから、今後も注目を集めるテーマであると言えるでしょう。

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