輸送艇1号型

輸送艇1号型について

輸送艇1号型（JMSDF LCU-2001 class utility landing crafts）は、日本の海上自衛隊が所有する汎用の輸送艇クラスです。この艇は、1987年から1992年の間に2隻が建造され、沿岸僻地や離島への人員および物資輸送を行うために設計されました。

構造と性能

この型式の艇は、搭載能力が非常に高く、最大で200名の人員と25トンの物資を運ぶことが可能です。特にビーチング（浜に上陸するための行動）の際には、平底の艦底形状が役立ちます。また、艦尾には離礁用の錨が装備されており、主錨は艇首左舷に配置されています。艦の前部はオープンな設計になっており、ここに車両や物資を積み込むことができます。さらに、追加で70名の兵員を搭載することもできます。

輸送艇1号型の全長はアメリカ陸軍のラニーミード級揚陸艇に近いですが、排水量はその約半分であり、移動に特化した設計がされています。ラニーミード級は戦車3両を搭載できるのに対し、輸送艇1号型はそのような大型車両の搭載には対応していません。これは、長距離にわたる人員輸送能力を重視した設計によるものです。

物資の揚陸方法

物資の揚陸は、海岸で擱座（かくざ）してから艦首のバウランプを下ろして行います。この艇のバウランプは単一の構造を持ち、従来のゆら型では採用されていた二段階のバウドアとランプの構造を省略しています。この結果、艦首形状が平らになり、ローディングの効率を高めています。

船舶の居住部分と武装

艦の後部には艦橋があり、艦橋下には居住区や機関部が配置されています。武装としては、艦橋の頂部に1基の人力操砲のJM61-M 20mm機関砲が搭載されています。この武装は、必要に応じて航空機などからの攻撃に対応できるよう考慮されています。

更新と除籍

最近では、2021年から順次ロービジ（低可視性）塗装への変更が進められています。ロービジ塗装は、艦の識別番号や名称を目立たなくするために色を灰色に変更したり、対空表示を消すなどの手順が含まれています。特に、煙突の黒帯の廃止は、清潔感と共に目立たないようにするための措置として行われています。

その後、2022年4月7日には輸送艇1号が除籍されました。この艇は、その設計と搭載能力から日本の沿岸防衛において重要な役割を果たしてきましたが、時代の変化による運用形態の変化に伴い、その役割を終えました。今後も、海上自衛隊は新たな技術や運用方法を用いて、海上防衛の任務に取り組んでいくでしょう。

もう一度検索