農具川

農具川（のうぐがわ）

農具川は、長野県大町市を流れる信濃川水系の一級河川です。その源を仁科三湖に発し、大町市の南部で高瀬川に合流します。特に木崎湖から高瀬川までの区間は、下部農具川と呼ばれています。

概要

農具川は、青木湖から南へ向かい、大町市の低地を蛇行しながら流れていきます。その過程で、木崎湖では権現山に源を発する稲尾沢と合流し、大町三日町では居谷里沢を合わせます。さらに下流に進むにつれて、篭川や鹿島川から分水した堰の余水や、鹿島川扇状地の伏流水が加わり、水量を増していきます。

この川の大きな特徴は、仁科三湖を貫流することによって、沈砂作用と温水作用を受けている点です。そのため、降雨時にも濁流となることはほとんどありません。水温も上流の湖の表層水温が影響し、例えば十二山橋付近では、5月下旬に16〜17℃に達するなど比較的安定しています。木崎湖の水門によって渇水時には湖面下3メートルまでの範囲で水位が調整可能であるため、流量は年間を通して安定しています。

この安定した水量は、大町市内から池田町にかけての高瀬川東岸地域の灌漑用水として重要な役割を果たしています。農具川は、地域の農業を支えるだけでなく、豊かな自然環境を育む上で欠かせない存在です。

水の恵み

農具川は、その清らかな水によって、周辺の農業に欠かせない灌漑用水を供給しています。安定した水量は、地域住民の生活用水としても活用されています。また、川沿いには豊かな自然が残り、多様な動植物が生息しています。この美しい景観は、地域住民にとって心の安らぎとなっています。農具川は、単なる河川としてだけでなく、地域社会にとってかけがえのない存在と言えるでしょう。

関連情報

仁科三湖: 農具川の源流となる青木湖、中綱湖、木崎湖の三つの湖の総称。
高瀬川 (長野県): 農具川が合流する川。

参考文献

* 「北安曇誌　第1巻 自然」

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