農商務省 (日本)

農商務省についての歴史

農商務省（のうしょうむしょう）は、明治時代から大正時代にかけて存在した日本の中央官庁で、1893年からは農業、林業、水産業、商業、工業に関する行政を統括していました。1881年4月7日に設立され、当初は太政官制の下で農商務卿がその職責を担い、その後内閣制度の成立に伴い農商務大臣が長となりました。

農商務省の主な役割

農商務省は、さまざまな市場のニーズに応じて、農業や産業動向を見極めるために多くの施策を講じました。特に、窒素肥料の研究のために臨時窒素研究所を設け、甲賀三郎や大下宇陀児といった有名な研究者がここで働きました。また、1897年には、農商務省がフランス法を参考にしながら、馬飼育業を大いに発展させました。これは、軍馬のニーズ増加に応じた取り組みでもありました。さらに、工場法の制定に向けて全国の工場労働者の実情について詳しい調査が行われ、その結果が1903年に刊行された「職工事情」にまとめられました。

農商務省の解体とその後

1925年に農商務省は廃止され、農林省（現在の農林水産省）と商工省（現在の経済産業省）に分かれました。この分割の背景には、農業界からの強い要望があり、特に大正期の米価高騰に対する不満が反映されていました。戦後の1943年には、第二次世界大戦の関係で新たに農商省（のうしょうしょう）が設置されますが、これは前身の農商務省とは異なり、「務」の文字が省略された名称で、当時の農商大臣がその長を務めました。

この新しい農商省は、商工省の一部機能を農林省に統合し、軍需産業を強化するために設けられました。しかし、終戦を迎えると1945年に再び農林省と商工省に分かれ、当時の組織が復活することとなりました。

各局の変遷

農商省の下には、大臣官房、農務局、商務局、工務局、商工局、山林局、水産局、畜産局、食糧局、特許局といった様々な部局が存在しました。これらの部局は後にそれぞれの省庁として独立し、現在の形へと発展しました。

• - 農務局: 現在の農林省農務局に引き継がれ
• - 商務局: 現在の経済産業省商務局に発展
• - 工務局: 商工省工務局として続き、商工省の重要な一部を形成
• - 山林局: 林野庁としての役割を果たし
• - 水産局: 現在の水産庁に発展
• - 畜産局: 農林水産省畜産局に引き継がれる

それぞれの局の役割は、農業の発展や産業の振興において、非常に大きな影響を持っていました。これは日本の経済成長に寄与し、国の基盤を固める重要な要素となっていったのです。

結論

農商務省とその後の農商省は、日本の農業や商工業の発展における重要な役割を果たしました。歴史を通じて見れば、これらの官庁は、時代の流れに応じて変革を重ね、現在の農林水産省や経済産業省といった形に進化していったのです。この歴史は、日本の産業政策や農業施策を語る上で欠かせないポイントであり、その理解は現代の日本を知る手助けとなるでしょう。

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