農業農村工学会

公益社団法人農業農村工学会

公益社団法人農業農村工学会（英語: The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering、略称：JSIDRE）は、東京の港区新橋を拠点に活動する日本の工学に特化した学会です。本学会は1907年に設立された耕地整理研究会を基にし、1929年には「農業土木学会」として正式に成立しました。さらに、2007年に「農業農村工学会」という名称に改称し、現在に至っています。

この学会の主な目的は、農業農村工学（農業土木）の研究を進め、研究者や技術者の資質を向上させることです。これにより、学術や技術の発展だけでなく、社会の進歩にも寄与することを目標としています。会員は約1万人で、そのうち1割が研究者、9割が技術者という構成が特徴です。このように、技術者に多く参加してもらうことが、学会の重要な特色として挙げられます。

農業農村工学の定義

本学会は「農業農村工学」を次のように定義しています。「農業の生産性向上と、農村の生活環境の整備を実現するために、農業農村に関連する中小都市を含めた地域全体の持続的な発展を図ること。それを達成するために、循環を基盤とした社会を構築し、地域資源である水や土を、人と自然の調和と環境への配慮を重視して合理的に管理していく科学技術として位置づける」としています。倫理の観点からも、学会は「農業農村工学に係わる技術者の倫理規程」を制定し、広く公開しています。

沿革

農業農村工学会の歴史は1907年に遡ります。この年の6月29日に耕地整理担当の技術者を集めて耕地整理研究会が開始され、それから一年半後には研究会報の第一号が発行されました。1929年に、農業土木学会として正式に設立され、当時の会員数は約2500名でした。初代の会長には田中貞次が就任しました。また、同年12月には学会機関誌『農業土木研究』が創刊されました。

その後、技術者としての資質向上を重視し、さまざまな活動を行ってきました。1960年には「農業土木研究別冊」という論文集が発刊され、1965年には学会誌の名称を『農業土木学会誌』に変更しました。さらに、1970年には社団法人として認可を受け、上野英三郎の功績を記念して「上野賞」を創設しました。1982年には学会の英文誌『Journal of Irrigation Engineering and Rural Planning』を創刊し、1996年にはそれを『Rural and Environmental Engineering (REE)』へと改名しました。

2007年には社団法人名称を「農業土木学会」から「農業農村工学会」に変更し、同時に学会誌の名称も改訂しました。2012年には公益社団法人として登記され、今に至ります。

出版物

本学会は定期刊行物を多数発行しており、その中には毎月発行される『農業農村工学会誌』や年2回発行される『農業農村工学会論文集』があります。また、国際的な学術誌である『Paddy and Water Environment』は2003年に創刊され、国際的な学術交流も促進しています。

このように、日本の農業と農村工学に関連する研究や問題に取り組む公益社団法人農業農村工学会は、持続可能な地域社会の実現を目指しています。

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