農民運動全国連合会

農民運動全国連合会

農民運動全国連合会（農民連）は、日本の農業者から構成される中央組織で、家族農業の維持と発展を目的として1989年に設立されました。主な加盟団体は都道府県単位の農民連や農民組合であり、日本国内で唯一「ビア・カンペシーナ」に加盟する組織でもあります。

設立の背景

設立の背景には、1988年の竹下内閣による牛肉・オレンジの輸入自由化がありました。これにより、日本農業と国民の食糧への影響が懸念され、農民運動の全国センターとして結成されました。現在、日本の農業が直面している問題は、日米安保条約の経済条項が関与していると考えられており、農民連はこれを改正するための取り組みを進めています。

家族農業の重要性

世界81ヶ国において、農業の多くは小規模な家族経営です。国連は2019年から2028年を「家族農業の10年」と定め、各国にその促進を呼びかけています。農民連は、日本における家族農業を守るため、減反や米の輸入自由化に反対し、食料自給率の向上を求めています。特に、産地直送や直売の拡大を図ることで、商業者や流通業者を介さない販路の開拓も行っています。

地域組織と活動

農民連には47の都道府県組織があり、それぞれ「○○農民連」または「農民組合○○連合会」と名乗っています。各地域の農民センターに所属する個別の自営農業者は、地域の農業を支える活動を展開しています。また、全国連合会には日本販売農業協同組合連合会が加盟しており、全国的な農業者の連携を図っています。

福島第一原発事故の影響

2011年の福島第一原発事故以降、農民連は被害農家を支援する活動も行ってきました。事故後、農業に対する風評被害や補償問題が浮上し、東京都千代田区にある東京電力本店での抗議活動などが行われ、多くのメディアから注目を集めました。さらに、原発ゼロを目指す行動にも積極的に参加しています。

食品分析と安全性

農民連は、加盟農家の農産物の安全検査を行う「農民連食品分析センター」を運営しています。このセンターでは、放射能汚染や輸入野菜の安全性に関する検査のほか、食品の栄養成分分析や残留農薬の調査を実施しています。また、外部からの分析依頼にも応じており、その結果は市民に広く公開しています。

政治との関係

農民連は、政党から独立した立場を維持しつつ、要求が一致する政党と協力する方針を採っています。特に、自民党の農政に対しては批判的であり、共産党とは親和性の高い関係があります。具体的な活動として、米危機を打破するためのオンライン行動を行い、複数の野党とともに政府に対する提言を行いました。

著作と活動の集大成

農民連は、農業の持続可能性をテーマにした著作物も多く発表しており、農民の権利や食料主権についての議論を深めています。今後も、日本の農業を取り巻く環境の中で、農民が健全な経営を行えるよう、様々な取り組みを継続することが期待されています。

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