辻啓蔵

辻啓蔵の生涯

辻啓蔵（つじ けいぞう、1886年2月7日 - 1945年1月18日）は、日本ホーリネス教会の福音使として知られ、その生涯は信仰と犠牲に捧げられたものでした。彼は石川県金沢市に生まれ、幼少期に辻家の養子となりました。成年期には国鉄職員として働きながら、キリスト教の道へ進んで行きました。

幼少期・青年期

辻啓蔵は明治19年に生まれ、成長期を金沢市で過ごしました。彼の青年期は、運命的な出会いによって劇的に変化しました。日本基督教会の亀谷凌雲牧師から洗礼を受け、キリスト教の教えに深く感銘を受けるとともに、その信仰を自身の生き方に組み込むようになりました。

ホーリネス教会牧師としての活動

1923年、大正12年に彼は献身を決意し、柏木聖書学院に入学しました。2年後の1925年には卒業し、新任福音使としての任命を受けます。同年のホーリネス教会の年会で、彼は中田重治の次女である京と結婚しました。この結婚は辻啓蔵にとって大きな支えとなり、彼の信仰の道において重要な意味を持ちました。

その後、足利教会に任命され、1926年には長男の重蔵が生まれ、1930年には次男の宣道が誕生しました。彼は家族を持ちながら、教会での役割を果たし、献身的に活動を続けました。特に、ホーリネス分裂事件の際には、中田監督側のきよめ教会の牧師に就任し、その役割を果たした重要人物となりました。1935年には長男が渡良瀬川で亡くなり、彼にとっては大きな悲しみとなりました。

検挙と殉教

1942年6月、辻啓蔵は検挙され、弘前署に拘留されることとなりました。その後、青森拘置所に移送され、1943年には懲役2年の判決を受けました。上告したものの棄却され、彼はその刑を受け入れることになります。1945年、青森刑務所の病室で彼は獄死し、その信仰と信念によって散華しました。

家族とその後の影響

彼の死後、未亡人となった京は二人の息子、重蔵と宣道を育てました。次男の宣道も牧師としての道を選び、辻啓蔵の信仰の灯火を引き継いだことが知られています。

参考文献

辻啓蔵の生涯や信仰に関する詳細な情報は、以下の文献に基づいています。米田勇の『中田重治伝』、中村敏の『日本における福音派の歴史』、および山崎鷲夫の『日本キリスト教歴史大事典』などがあり、彼の生涯を理解するための貴重な材料となっています。

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