辻庄市

辻 庄市

辻 庄市（つじ しょういち）氏は、日本の元財務官僚であり、現在は教育者として信州大学で教鞭をとっています。1963年9月14日に福井県小浜市に生まれ、多岐にわたる分野での行政経験を積み重ねてきました。

若き日々から官界へ

東京大学法学部にて法律を学び、1987年に卒業しました。大学在学中の1986年には、将来官僚となるための重要な関門である国家公務員採用試験（一種、法律区分）に見事合格しています。卒業と同時に、当時の大蔵省（現在の財務省）に入省し、そのキャリアをスタートさせました。

最初の配属は大臣官房の文書課でした。その後、1989年には政策の企画・立案に関わる大臣官房調査企画課へ異動。1990年7月からは、国の財政を司る主計局総務課にて調査主任を務め、翌年には企画係長として、予算編成の初期段階に関わる重要な役目を担いました。

地方・海外での経験

中央官庁での経験を積む一方で、地方の現場にも触れる機会を得ました。1992年には群馬県桐生税務署長に就任し、税務行政の執行に直接携わりました。続く1993年には、地方自治体の財政運営の実態を学ぶため、神奈川県横浜市へ出向し、財政局の財政担当課長を務めています。

国際的な知見を深めるため、1997年にはアメリカ合衆国のハーバード大学国際問題研究所で研究員として研鑽を積みました。この海外での経験は、その後のキャリアに大きな影響を与えたことでしょう。

財務省内外での要職

ハーバード大学からの帰国後、再び財務省本省での勤務に戻りました。1998年には大臣官房文書課の企画調整室で課長補佐を務め、本省の主要な業務に関与。その後も、1999年に理財局国庫課、2001年に国際的な取引に関わる関税局関税課、そして2002年には関税局総務課にて、それぞれ課長補佐（総括を含む）として専門性を高めていきました。

海外での実務経験としては、2004年から日本貿易振興機構（ジェトロ）のフランクフルト事務所長としてドイツに赴任し、日本の貿易促進活動を支援しました。帰国後の2006年には、地方ブロック機関である近畿財務局で理財部長を務め、地域経済や金融行政に関わりました。

再び財務省本省へ戻った2007年には、大臣官房にて政策評価、業務企画、情報公開といった複数の室長職を兼務し、組織全体のガバナンスや効率化に貢献しました。翌2008年には総務省へ出向し、人事・恩給局の参事官として、国家公務員の給与や退職手当といった人事制度の企画・運営に携わっています。

2010年には財務省理財局に戻り、計画官として地方債などの重要政策を担当。2011年には特殊な環境である宮内庁長官官房の主計課長に就任し、皇室関連の予算管理などにも従事しました。2013年からは内閣府に出向し、経済財政運営を担う政策統括官の付として参事官を務め、国の予算編成基本方針策定といった中枢業務に深く関与しました。

地方創生への貢献と局長職

キャリアの後半では、国の重要政策である地方創生に深く関わることとなります。2018年には内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局次長、内閣府地方創生推進事務局審議官、内閣府地方創生推進室次長といった要職を兼務し、政府の地方創生政策の企画・推進において中心的役割を果たしました。

これに先立つ2017年には、中国財務局長として中国地方の財務行政を統括。そして、2020年7月からは北陸財務局長として、北陸地域の経済や金融の安定・発展に向けた財務行政の指揮を執りました。

教育者への転身

長年にわたる行政官としてのキャリアを終え、2021年からは教育者として新たな道を歩み始めました。信州大学経法学部の教授に就任し、これまでの豊富な行政経験、特に経済、財政、地方創生などに関する深い知見を、未来を担う学生たちの指導や研究活動に活かしています。

その他

趣味は山登りや将棋など。これらの趣味は、粘り強さや戦略的な思考を養う点で、その多忙なキャリアを支える一助となったのかもしれません。

辻氏は、財務省を中心に多様な省庁、地方自治体、海外機関での経験を持ち、特に地方創生における貢献は注目されます。その幅広い経験と深い洞察力を通じて、現在は教育の現場で後進の育成に力を注いでいます。

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