辻晴雄

辻晴雄氏の経歴と功績

辻晴雄（つじ・はるお）氏は、1932年12月6日に大阪府大阪市で生まれました。関西学院大学商学部を1955年に卒業後、早川電機工業株式会社（現在のシャープ株式会社）に入社しました。同社では、1977年に取締役に就任、その後、常務取締役、専務取締役を経て、1986年6月には取締役社長に就任し、シャープの第3代社長として経営を担いました。1998年からは相談役を務め、現在に至っています。

液晶ディスプレイ事業の開拓

辻氏の最大の功績は、世界に先駆けて液晶ディスプレイ事業の本格的な立ち上げに成功したことです。当時、液晶ディスプレイはまだ黎明期にありましたが、辻氏はその可能性に着目し、大型化、高画質化、フルカラー化を推進しました。その結果、シャープは「液晶のシャープ」としての地位を確立し、その後の液晶ディスプレイ市場の発展に大きく貢献しました。

革新的な応用商品の開発

液晶ディスプレイ技術を応用した画期的な製品開発も辻氏の功績として挙げられます。液晶付きビデオカメラ「液晶ビューカム」、携帯情報ツール「ザウルス」、液晶プロジェクター「液晶ビジョン」、そして当時最大級の8.6型壁掛け液晶テレビ「液晶ミュージアム」など、数々の革新的な製品を生み出し、市場に新たな価値を提供しました。これらの製品は、当時の技術水準を大きく超えるものであり、シャープの技術力を広く知らしめることとなりました。

需要創造型商品の創出

また、辻氏は、既存の市場にない新たな需要を創出することにも注力しました。ホームファクシミリ「イラストーク」や日本語ワープロ「書院」の開発を陣頭指揮し、「個のマルチメディア」全盛時代を切り開きました。これらの製品は、当時の人々の生活を大きく変え、新たな市場を創造しました。

デバイス事業への注力

さらに、辻氏はデバイス事業にも力を入れ、液晶を含むオプトエレクトロニクス分野を開拓しました。これは、液晶ディスプレイ事業の成功を支える重要な要素となり、シャープの競争力を高めることとなりました。

経営理念と現場主義

辻氏の座右の銘は、自らが創った「考動」と「協創」です。「情報の波打ち際に身を置く」ことをモットーとし、常に変化する市場の動向を捉え、現場主義を貫く経営姿勢を示しました。これらの言葉は、辻氏の経営哲学を象徴するものであり、彼の行動原理を理解する上で重要な鍵となります。

現在の活動

現在、辻氏はシャープ株式会社の相談役を務める傍ら、野村ホールディングス株式会社、野村證券株式会社、小林製薬株式会社、セーレン株式会社、株式会社ティーケーピーなど、複数の企業の取締役も務めています。これらの活動を通じて、辻氏は、幅広い分野でその知見と経験を活かし、社会に貢献しています。

まとめ

辻晴雄氏は、シャープを世界的な液晶メーカーへと押し上げた立役者であり、その経営手腕と先見の明は高く評価されています。彼のリーダーシップのもと、シャープは数々の画期的な製品を開発し、人々の生活を豊かにすることに貢献しました。また、その経営理念と現場主義は、今日のビジネスパーソンにとっても大きな学びとなるでしょう。

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