辻本章次

辻本 章次

日本の元プロボクサー、辻本章次（つじもと しょうじ）氏は、1948年9月25日に奈良県に生まれました。現役時代は名門ヨネクラボクシングジムに所属し、そのキャリアを通じて日本ボクシング界に多大な足跡を残しました。ちなみに、実兄である辻本英守氏も元日本ライト級王者であり、兄弟揃って日本の頂点に立ったボクシング一家としても知られています。

アマチュアでの輝かしい実績

辻本氏はプロ転向以前、近畿大学でアマチュアボクシング選手として活動していました。特にライト級では全国レベルで卓越した成績を収め、全日本王者にも輝いています。アマチュアでの通算戦績は、102戦92勝（46KOまたはRSCによる勝利を含む）10敗という見事な記録を残しています。

プロボクサーとしての道のり

アマチュアでの華々しい実績を引っ提げ、辻本氏はプロの舞台へと転じ、ヨネクラボクシングジムの門を叩きました。1970年10月7日、浦和洋一選手との一戦でプロキャリアをスタートさせ、これを6回判定勝ちで飾りました。

プロデビューからわずか2年後となる1972年10月30日、辻本氏は清水孝恒選手が保持していた日本ウェルター級王座に挑戦します。このタイトルマッチでは、6ラウンド終了時のTKO勝利という形で見事に王座を獲得しました。

日本チャンピオンとして、辻本氏は積極的に防衛戦を重ね、その実力を国内外に示しました。1974年11月11日には、かつての世界王者であり、当時世界ウェルター級ランキングで10位に名を連ねていた実力者、エディ・パーキンス選手（アメリカ）と対戦。10回に及ぶ熱戦の末、判定で勝利を収め、この一戦を機に自身も世界ランキング入りを果たしました。

翌1975年1月20日には、OBF東洋ウェルター級チャンピオン、龍反町選手（野口ジム）のタイトルに挑みましたが、最終ラウンドに二度ダウンを奪われたことが響き、結果は引き分けとなりました。

日本王座は9度防衛に成功し、その実績が認められ世界タイトル挑戦の機会を得ます。1976年10月27日、WBA世界ウェルター級チャンピオン、ホセ・クエバス選手（メキシコ）との世界戦に臨みました。しかし、ホセ・クエバス選手の強打の前に6ラウンドKOで敗れ、世界王座獲得は叶いませんでした。

世界挑戦後も辻本氏は日本ウェルター級の頂点に君臨し続け、防衛回数を伸ばしました。最終的に日本王座を「12」度防衛するという、当時の日本ボクシング界における金字塔となる記録を打ち立てました。

しかし、1978年4月28日に行われた13度目の防衛戦で、亀田昭雄選手（ミカドジム）に5ラウンドKOで敗れ、長らく守り続けた王座を手放しました。この試合をもって、辻本氏は現役生活に別れを告げました。

ボクシング界への貢献

現役を引退した後も、辻本氏はボクシング界への情熱を燃やし続けました。後進の指導・育成に携わり、1993年には江坂ボクシングクラブの会長に就任。さらに、西日本ボクシング協会の会長としても、ボクシング界の発展や普及に尽力しました。

逝去

辻本章次氏は2023年12月23日、大阪市内の病院にて75歳で亡くなりました。選手として日本ウェルター級王座を12度防衛する偉業を成し遂げ、引退後も指導者・運営者としてボクシング界に貢献したその功績は、今なお多くの関係者やファンに記憶されています。

プロ戦績概要

通算戦績: 33戦
勝利: 27勝（うち14KO）
敗戦: 4敗
引き分け: 2分

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