辻田邦夫

辻田邦夫：アニメーションの色を彩る巨匠

辻田邦夫氏（つじた くにお）は、1963年4月19日東京都生まれのアニメーション色彩設定者です。アニメーション業界において長年にわたり、色彩設計、色指定、カラーデザインなど、作品の色調を決定づける重要な役割を担ってきました。

アニメーションとの出会いからキャリア形成へ

東京都立富士高校卒業後、日本大学芸術学部映画学科に進学。在学中はアニメーションの仕上プロダクションでアルバイトとして経験を積み、その後、大学を中退して同プロダクションに就職しました。

1985年、東映動画（現・東映アニメーション）に入社。当初は仕上進行として『夢戦士ウイングマン』や『コンポラキッド』などに携わっていましたが、同年、検査（当時、東映動画社内では色指定を担当）に異動。そして『オーディーン 光子帆船スターライト』で色指定に初参加しました。

その後、東映日米合作作品である『ROBOTEX』や『トランスフォーマー』などでも各話の色指定を担当するなど、着実にキャリアを積んでいきます。

1986年には、日本のアニメ史に燦然と輝く『聖闘士星矢』に色指定として参加。第1話「よみがえれ! 英雄伝説」から関わり、同作品の高い人気に貢献しました。

その後も、『悪魔くん』『もーれつア太郎』『きんぎょ注意報!』といった、1980年代後半から1990年代前半にかけて土曜19時枠で放送された人気テレビアニメシリーズや、『劇場版 ドラゴンボールシリーズ』『劇場版 美少女戦士セーラームーン』などの劇場版作品の色指定を担当しました。

彩りを創造する色彩設計への転身とフリーランスへの道

1995年放送開始の『ご近所物語』では、色彩設計として作品全体の色彩デザインを担うようになります。

以降、『花より男子』『夢のクレヨン王国』『おジャ魔女どれみ』シリーズ、『明日のナージャ』など、8年以上にわたり日曜朝8時30分枠で放送された数々のアニメ作品の色彩設計を務めました。

これらの作品において、辻田氏は各作品の雰囲気やストーリーに合わせた色彩設計を行い、アニメーションの世界観をより豊かに表現することに大きく貢献しました。

2009年頃からはフリーランスとして独立し、より幅広い作品に参加するようになりました。

多彩な作品への参加と類まれな才能

辻田氏の作品リストは非常に長く、その活躍は多岐に渡ります。テレビアニメ、OVA、劇場アニメなど、様々な形式の作品で色彩設計や色指定、カラーデザインといった役割を担い、数多くの作品に彩りを与えてきました。

代表的な作品としては、『聖闘士星矢』、『おジャ魔女どれみ』シリーズ、『金田一少年の事件簿』シリーズ、『少女革命ウテナ』、『カレイドスター』などがあります。

これらの作品における彼の色彩設計は、それぞれの作品の世界観やキャラクターの魅力を最大限に引き出すことに成功し、高い評価を受けています。

また、「國音邦生」という別名義も使用しており、その活動の幅広さが伺えます。

現在も第一線で活躍を続ける辻田邦夫氏。彼の類まれな才能と情熱によって、これからも多くのアニメーション作品が鮮やかに彩られていくことでしょう。

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