辻維岳

辻維岳：広島藩改革を担い、維新の渦中で活躍した武士

辻維岳(つじ いがく、1823-1894)は、幕末から広島県西部'>[明治]]時代初期にかけて活躍した、広島藩に仕えた武士、そして官僚です。安芸国]出身で、維新後には[[男爵位を授けられました。幼名は勘三郎、後に将曹(しょうそう)と名乗り、この名で広く知られています。号は僊風(せんぷう)。

藩政改革への道

1823年、広島藩士・辻維祺の子として生まれました。代々広島藩に仕えた辻家は、家祖が田中吉政に仕え、田中氏の断絶後は浅野氏に仕えるようになりました。1846年、家督を相続し、1200石を領しました。

1853年のペリー来航を契機に、維岳は浅野遠江や黒田図書らと共に、藩政改革を訴える改革派として台頭しました。藩財政の立て直し、軍事力の強化、士気の向上などを訴え、保守派の執政に対抗を試みましたが、当初は成功しませんでした。しかし、1858年に藩主が交代すると、改革派が主導権を握るようになり、1862年には年寄(執政)に任命され、藩政改革の中枢を担うようになりました。郡政の刷新、殖産興業、軍備の近代化、財政の改善など、幅広い改革を推進しました。これらの活動は藩外にも知れ渡り、維岳の名は次第に高まりました。

戊辰戦争における周旋役

1864年の第一次長州征討では、幕府と長州藩の間の和平交渉を仲介しました。翌年、再び征討の動きが起こると、藩論を中立的な立場に導き、幕府に対して長州藩への寛大な処分と征討の中止を強く主張しました。しかし、主張は受け入れられず、1866年の第二次長州征討では、広島藩の先鋒を務めることを拒否しました。そのため、謹慎を命じられるも、すぐに釈放されています。同年、徳川家茂が亡くなると、維岳は藩論を「王政復古」へと転換させました。

王政復古と大政奉還

1867年、京都に上洛した維岳は、薩摩藩・長州藩の倒幕の動きに呼応し、小松帯刀や西郷隆盛らと協力して、薩長芸三藩同盟の締結に尽力しました。一方で、大政奉還を推進し、広島藩から幕府への建白書提出にも関わりました。大政奉還の決定過程においても重要な役割を果たし、小御所会議では薩摩藩と土佐藩の対立を収め、倒幕への流れを決定的にしました。この功績により、新政府の参与に任命されました。

維新後と晩年

維新後は、参与内国事務局判事や大津県知事を務めましたが、長くは続きませんでした。1869年には復古功臣として表彰されましたが、その後は新政府の中枢に深く関わることはありませんでした。晩年は、困窮する旧士族の救済に尽力し、1890年には元老院議官に任命され、男爵に叙せられました。1894年、72歳で亡くなりました。

人物像と功績

勝海舟は、維岳の優れた周旋能力を高く評価しています。維岳は藩政改革、戊辰戦争における和平交渉への尽力、王政復古、そして大政奉還といった、激動の時代における重要な局面で活躍しました。その手腕は、維新後の日本の形成に少なからず影響を与えたと言えるでしょう。彼の功績は、現代においても高く評価されています。

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