大津県

大津県の歴史と意義

大津県（おおつけん）は、1868年に新政府により設置された県であり、滋賀県の直接の前身と位置づけられています。その成立は、日本が幕末から明治にかけて転換期を迎えた時代の重要な出来事の一つです。完成した大津県は、当初近江国に広がる地域を管轄し、現代の滋賀県全体を含んでいましたが、流動的な歴史の中でその領域は次第に縮小していきました。

設立の背景

江戸時代、近江国は複雑な領地構成を持ち、大藩は彦根藩しか存在しませんでした。その他は小藩や天領、各藩の領地が交錯していたため、地元の治安や税収管理は各地の代官所に委ねられていました。この中で、大津は特に重要な地域であり、幕府は大津奉行を設置していました。1868年、新政府はこの体制を大きく変えることを決定し、大津代官所を廃止して大津裁判所を設置しました。これが大津県の起源となるのです。

大津県の成立と変遷

大津裁判所は、1868年4月に大津県として新たな形で生まれ変わりました。当初は滋賀郡の大津町に設置され、継続的に県庁の場所を移転しながら運営されました。設立から約4年後の1872年には、廃[[藩置県]]の流れに沿って第1次府県統合が行われ、近江国南部の五郡に加え、北部の高島郡が含まれるようになりました。

が、その後の1872年11月には高島郡が長浜県に移管され、さらには滋賀県に改称される結果となりました。この一連の変革は、当時の地元政治を大きく動かすものでした。

大津県から滋賀県への名称変更

滋賀県に改称されたのは、1872年12月のことです。県令であった松田道之が提案したもので、その理由は、旧幕府が設けた代官所の名を残すことが開化に対する障害になるというものでした。新しい名称の『滋賀』は、県庁の所在が大津町ではなく、近郊の別所村だったことから、その郡名を採用したものでした。この変化は、時代の変遷を示すシンボルでもあり、全国的に県名変更が行われていた中での一環とされています。

大津県の行政と役割

大津県における初期の知事には、元公家の長谷信篤が任命されています。続いて、元広島[[藩]]士の辻維岳、福知山藩士の朽木綱徳らが知事や県令としてその行政を担いました。この時期、大津県は明治政府における新しい政策の実施、地方政治の安定に大いに寄与しました。特に、廃[[藩置県]]以降、その役割は地域の行政管理を一手に引き受け、急速に変化する社会の中で重要な位置を占めることとなりました。

結論

大津県は、滋賀県形成の礎となり、幕末から明治にかけての日本の激動を反映する存在です。この短い歴史の中で、政治的、社会的に多くの議論や試行錯誤、成長を経て、現在の滋賀県への継承に至ったことは非常に意義深いものです。大津県の歴史を通じて、我々は時代の変遷と地域の発展の繋がりを学ぶことができ、今後の地域振興にも役立てることができるでしょう。

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