辻馬車

辻馬車（つじばしゃ、fiacre）とは

辻馬車は、近代ヨーロッパの都市における交通手段の一つで、現代のタクシーの原型とされています。ただし、タクシーの原型と呼ばれるものには、「ハンサムキャブ」や「ハックニーキャリッジ」など、他にも複数の種類が存在します。

辻馬車の特徴は、あらかじめ定められた駅前などの場所に待機し、乗客を目的地まで運び、その対価として運賃を受け取るという営業形態にあります。主に二輪馬車が用いられました。

歴史

辻馬車の起源は、貸馬車に遡ります。1625年頃にはロンドンでその原型が見られ、その後、1640年頃にパリのサン＝フィアークル（聖フィアークル）ホテルで貸馬車業を営んでいたニコラ・ソバージュが、道端に馬車を配置して乗客を待つという営業方法を開始しました。この形態が発展し、乗客を市内の指定された場所まで輸送する馬車として、後に「フィアークル（fiacre）」と呼ばれる辻馬車へと発展したとされています。

「フィアークル」という名称は、聖フィアークルに由来します。聖フィアークルはアイルランドの隠者であり、フランスに修道院を建立した人物で、庭師と御者の守護聖人として知られています。サン＝フィアークル・ホテルの看板には、彼の肖像が描かれていました。

日本への導入

日本には明治時代に辻馬車が導入され、その際、「辻馬車」という名称が与えられました。

関連項目

乗合馬車
駅馬車

参考資料

* 『世界大百科事典』平凡社

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