込め不足

込め不足（こめぶそく）

定義と背景

込め不足は、自動空気ブレーキを搭載した鉄道車両において、ブレーキをかけた後にブレーキ管内に十分な圧縮空気が供給されない状態を指します。この現象が発生すると、再度ブレーキを操作してもその効果が低下し、場合によってはブレーキが効かなくなる可能性があります。特に、自動空気ブレーキが主要な制動手段として用いられています。

概要

自動空気ブレーキを使用した際には、一時的にブレーキを緩めることが行われますが、その際にブレーキ管に補充されるべき空気が不足していると、ブレーキシリンダを動かすための補助空気圧が減少します。この状態で再度ブレーキを作動させると、ブレーキシリンダの圧力が不足し、制動力が著しく低下することがあるため、非常に危険です。

自動空気ブレーキを常用する機関車や古い型式の電車では、この問題は特に深刻です。また、新しい性能を持つ電車や気動車においても、非常ブレーキとして使用後には込め不足が発生しないように細心の注意が求められます。類似の現象は、大型トラックやトレーラーといったエアブレーキを備えた重 vehiclesにおいても確認でき、注意が必要です。

対策と安全装置

車両には、停車後に補助空気ダメの圧力が一定以上に達しないと発車できない安全装置が搭載されていることがあります。このような機構は、込め不足のリスクを軽減する上で重要です。

また、自動空気ブレーキ専用の列車では、通常の自動列車制御（ATC）システムが自動緩解時に込め不足を引き起こすため、使用されません。旧式のATS（自動列車保安装置）は非常ブレーキにのみ対応し、自動緩解を行わないため、込め不足を防いでいます。新たな形のATS-Pでは、常用最大ブレーキの使用が求められ、機関車方式の列車は自動緩解機能を使用しません。

かつて青函トンネル内では、特別なATC（ATC-L型）が採用されており、機関車の車内信号は予告機能を持ちながら、自動緩解を行わないよう設計されていました。しかし、北海道新幹線の開業に伴い、この保安装置はDS-ATCに切り替えられ、ATC-L型はもはや存在していません。

東京都交通局が運行するE5000形電気機関車は、けん引する車両が電気指令式ブレーキの電車のみであるため、込め不足のリスクを排除しています。これにより、通常の電車列車と同じく、ATCとC-ATSの自動緩解機能をフルに活用できる点が特徴です。

結論

込め不足は、自動空気ブレーキを備えた鉄道車両における重要な問題ですが、適切な対策を講じることで、安全に運行することが可能です。ブレーキの効力を維持するためには、車両の構造やブレーキシステムの理解が必要となります。安全を保つため、技術の進歩とともに、引き続き研究が求められます。

参考文献

• - 永瀬 和彦「鉄道における技術と技量の涵養に関わる課題 -ブレーキに関わる諸問題を例として-」『鉄道ジャーナル』No.484（2007年2月） pp.60 - 67 鉄道ジャーナル社

関連項目

• - 自動空気ブレーキ
• - エアブレーキ
• - ATS（自動列車保安装置）

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