近仇首王

近仇首王の治世と考証

近仇首王（きんきゅうしゅおう、生年不詳 - 384年）は、百済の第14代の王で、375年から384年まで在位しました。彼は前王近肖古王の子であり、諱は須とされています。彼の治世は、百済と高句麗との間で繰り広げられた激しい戦闘によって特徴付けられています。

治世の始まり

近仇首王は、先代の王が亡くなった375年11月に王位に就きました。彼が即位する前の371年、彼は高句麗の故国原王による近辺への侵入を受けて、父王の命令に従い敵軍を迎撃しました。この戦闘では高句麗軍を撤退させることに成功し、戦果をあげたのです。さらに372年には平壌城にまで進撃し、故国原王を打ち倒し、戦死させるという成果を上げました。

王位継承後も、近仇首王は高句麗との戦いを続けました。彼は父の近肖古王が築いた東晋との外交関係を維持しつつ、高句麗に対抗する態勢を整えていました。377年から378年にかけては、高句麗との大胆な交戦に挑み、領土防衛に尽力したことが、彼の治世を特徴付けています。

東晋への朝貢

歴史記録によると、近仇首王は379年3月に東晋へ朝貢しようと試みましたが、悪天候に阻まれて出発することができず、帰還することになりました。この出来事は『三国史記』の百済本紀に記録されており、また『梁書』でも同様の内容が描かれています。彼の統治下でも、百済は周囲の勢力に対して適宜、外交を駆使しながら存続を図っていました。

死去と後世の評価

384年4月、近仇首王は在位10年で死去しました。彼の治世は、百済の防衛や外交戦略において重要な役割を果たしていたとされています。

考証と後世の記録

『三国史記』においては、近仇首王についてのいくつかの考証が行われています。その中で、近肖古王と仇首王の記録が混同されているとの指摘があります。この混同により、近仇首王の時代に関する部分が誤解を招く可能性があります。近肖古及び近仇首に関する情報は、『古事記』や『日本書紀』の記録とも一致しているため、古代史の解釈には慎重な考慮が必要です。これらの人物に関する記録は、後世の加筆によって攪乱されている可能性もあり、彼らの実態についてはさらに研鑚が求められます。

参考文献

• - 金富軾 著、井上秀雄 訳『三国史記』第2巻、平凡社〈東洋文庫425〉、1983年。
• - 武田幸男 編『朝鮮史』山川出版社〈世界各国史〉、2000年8月。

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