三国史記

三国史記

『三国史記』（さんごくしき）は、高麗時代の17代仁宗の命によって金富軾が編纂した、朝鮮半島の三国時代（新羅、高句麗、百済）から統一新羅末期に至るまでの歴史を扱う重要な歴史書です。この書籍は1143年に執筆が開始され、1145年に完成しました。全50巻から構成されており、朝鮮半島に現存する最古の歴史書とされています。

編纂の背景

『三国史記』の編纂は1143年に開始されたと考えられており、金富軾はその主な著者として知られています。全体の編纂作業は1145年に完了し、高麗の仁宗からの指示に基づいて行われました。この時期に多くの地名や年度、出来事などがまとめられました。特に地名の表記には、「古の○○は今の△△である」というような具体的な記述が見られ、その詳細な検討がなされていることから、歴史的研究の貴重な資源となっています。

構成

『三国史記』は全50巻にわたる大作で、大きく以下のように分かれています：

• - 本紀（巻1～28）

新羅本紀（巻1～12）、高句麗本紀（巻13～22）、百済本紀（巻23～28）

• - 年表（巻29～31）
• - 雑志（巻32～40）
• - 列伝（巻41～50）

本紀では新羅が最初に記載され、その後、高句麗や百済が続きます。年表は干支や中国の王朝、新羅、高句麗、百済の出来事を時系列で整理して掲載しています。特に列伝では、新羅の金庾信に関する章が三巻を費やしており、彼の功績が重視されています。

歴史的意義と批判

『三国史記』は朝鮮半島における重要な歴史書であり、その存在は朝鮮の歴史的理解に深く影響を与えています。ただし、記述内容や史料の扱いに関しては批判も存在します。編纂者の金富軾が新羅王室に近い貴族であったため、新羅に偏った視点が強いと指摘されています。また、他の歴史書と比べて中国の史書からの転用が多く、中国中心の視点でまとめられている点も批判されています。

近代においては、民族主義的な観点から『三国史記』への再評価が行われ、その歴史的価値について多様な見解が示されています。特に記述の客観性や史料批判が重要視され、様々な意見が交わされています。

関連資料

『三国史記』に次ぐ古代の歴史書として、『三国遺事』があり、これは『三国史記』に記載されていない逸話や伝説を集めた資料です。両者は朝鮮古代史の研究にとって基本的な文献とされています。

結論

『三国史記』は朝鮮半島における三国志と後の歴史について知る上で欠かせない資料です。その中立的視点、編纂者の意図、多様な史料の利用についての研究は、現在でも進行中であり、歴史的な解釈が常に求められています。古代朝鮮史の研究に興味がある人々にとって、この書は第一歩となるに違いありません。

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