近津神社 (大子町下野宮)

近津神社について

近津神社（ちかつじんじゃ）は、茨城県久慈郡大子町に鎮座する神社で、弘法大師に由来する式内小社です。この神社は、旧社格が郷社であり、地域の人々に親しまれています。また、下野宮近津神社とも呼ばれています。

歴史

社伝によると、近津神社は日本武尊によって創建されたとされています。慶雲4年（707年）には社殿が建立されたとのことです。この神社は、康平年間に源義家から寄進を受けており、その金額は三千貫文とされています。長い歴史を誇る神社であり、時代を超えて多くの信者たちに支えられてきました。

境内の特徴

近津神社の境内には「鉾スギ」という茨城県指定の天然記念物があります。この御神木は、高さが43m、幹周りが9.6mで、樹齢は1200年以上に及ぶと推測されています。この木は、近津神社の勧請の際に植えられたと考えられており、神社の象徴ともいえる存在です。

祭事

近津神社の中田植

近津神社では、毎年夏至の日に行われる「田植祭」が行われます。この祭りは、かつて水戸義公（徳川光圀）が寄進した神饌田に植える習わしがあったことから、江戸時代の前中期にはすでに行われていたと言われています。祭主が行う修祓の後、神田には注連縄が張られ、太鼓や笛の音色の中で、早乙女たちが苗を植え付ける姿は、地域の伝統として今も受け継がれています。

御桝廻し

「御桝廻し」という神事も近津神社で行われています。古くは近津三社（馬場都々古別神社、八槻都々古別神社、下野宮近津神社）で実施されていました。その後、近隣の神社でも行うようになり、毎年10月28日に今年の収穫を祝います。この神事では、収穫した籾を入れた枡を菰に包み、幣束を立てたものを引き受けて、御枡小屋に奉斎し、7年を過ぎた日に新しい籾を入れて引き継ぐという流れがあり、農業の守護神としての重要な役割を果たしています。

こうした祭事は、近津神社が農業信仰の中心地として大子町や福島県周辺で広く信仰されてきたことを物語っています。特に北常陸や南陸奥地方に広がる農業信仰の一環として、地域共同体の絆を深める大切な役割を担ってきたのです。

交通アクセス

近津神社へのアクセスは、JR東日本水郡線の下野宮駅から徒歩約5分と非常に便利です。訪れる際には、その美しい自然や歴史的な背景に触れ、心静まるひとときを過ごすことができるでしょう。

外部リンク

さらに詳しい情報や、イベントの最新情報については大子町文化遺産公式ホームページをご覧ください。

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