近藤 乾之助について
近藤乾之助(こんどう けんのすけ)は、
1928年4月18日に東京で生まれ、
2015年5月1日に亡くなるまでの間、シテ方
宝生流の
能楽師として日本の伝統芸能に大きな足跡を残しました。彼の人生と業績は、
能楽の世界における卓越した技術と情熱を示しています。
略歴
近藤は、父の
近藤乾三と、小鼓方大倉流の宗家、大倉六蔵の長女である母のもとに生まれました。彼の芸術の基盤は、父から受け継がれる伝統的な
能楽への情熱から始まりました。5歳で初
舞台を踏み、以後、
舞台に立つことが彼の運命となりました。彼の初
舞台は『鞍馬天狗』の花見稚児役であり、これにより彼は早くから注目を集めました。
続いて1935年には、7歳で宝生英雄のもとで本格的に修行を始め、1946年には18歳で『吉野静』で初めてシテの役を務めます。この
舞台での経験は、彼にとって大きな一歩となり、以降、数多くの
舞台で活躍するようになります。
1972年には、重要無形文化財総合認定保持者に指定され、その地位を確立しました。彼の技量は広く認められ、1992年には芸術選奨文部大臣賞、1995年には紫綬褒章、2001年には
日本芸術院賞、2004年には旭日小綬章を受賞します。これらの賞は彼の貢献を証明するものであり、多くの後進に影響を与えました。さらに、2010年にはエクソンモービル音楽賞の
邦楽部門を受賞し、業界に対する大きな貢献が評価されます。
終焉と遺産
近藤乾之助は、
2015年5月1日に膵臓癌で亡くなりました。享年87。彼の死は、
能楽界における大きな損失とされ、多くの弟子や仲間たちが深い悲しみに包まれました。その豊かな経験や技術は、今もなお多くの人々に受け継がれています。
彼に関する書籍
近藤氏に対する理解を深めるために、いくつかの書籍が執筆されています。特に、藤沢摩彌子が著した「近藤乾之助 謡う心、舞う心」(
集英社、2005年)は、彼の内面に迫った滋味深い内容となっており、彼の
舞台や哲学を知る上で有益です。また、近藤の伝記ともいえる「能役者 近藤乾之助」や、「能に生きて 近藤乾之助」(2021年)も多くの人々に読まれています。
縁のある人物
近藤乾之助は、父親の
近藤乾三や、
能楽界の先輩である
三川泉などとも深い関係があり、彼らとの交流や師弟関係も彼の芸に大きな影響を与えました。彼の業績と生涯は、
能楽という日本の伝統文化の一端を成しており、今後もその影響が続いていくことでしょう。