近藤正憲

近藤正憲（こんどう まさのり、生没年不詳-享保3年2月15日（1718年3月16日））は、江戸時代前期に活躍した赤穂藩に仕えた武士です。甲州流兵法の達人として知られ、源八（げんぱち）と号しました。

正憲の出自は、西村伝碩の子という説が有力です。西村伝碩は、大矢知伝碩、近松行重の母方の祖父にあたります。正憲の妻は、赤穂藩筆頭家老、大石良欽の娘でした。彼は、甲州流兵法の大家である近藤正純の養子となり、正純の没後（寛文2年1月2日没）、家督を継いだものと推測されます。なお、正憲の生家である大矢知家は、三河国吉良庄の出身という伝承も残されています。

1000石取りの組頭として藩に仕えた正憲は、その武芸の腕前で知られていました。妻の甥にあたる大石良雄をはじめとする多くの藩士に、甲州流兵法を教授したと伝えられています。国立博物館に現存する甲州流平山城模型は、正憲が設計、製作させたものであるという説も存在します。

しかしながら、元禄10年（1697年）に組頭職を解任され、組外に編入されて蟄居という身分となりました。その理由は史料に乏しく、詳細は不明な点が多く残されています。

元禄15年（1701年）3月の浅野内匠頭刃傷事件とそれに続く赤穂藩改易の際には、既に高齢であったと推測され、赤穂浪士による討ち入りには参加していませんでした。享保3年（1718年）2月15日、赤穂郊外の中村でこの世を去り、随鴎寺に葬られました。法名は、臥龍院関鉄道玄大居士です。

正憲に関する興味深い逸話として、赤穂城開城後、赤穂浪士の一人である吉田兼亮が、甲州流兵法を学ぶために正憲のもとに通っていたという話が伝わっています。しかしながら、この逸話についても史料による裏付けがなく、真偽は定かではありません。

近藤正憲の生涯は、甲州流兵法の伝承と赤穂藩という激動の時代を背景に、数々の謎に包まれたまま幕を閉じました。1000石取りの組頭という地位、大石良雄らへの兵法教授、そして解任と蟄居という波瀾万丈の人生は、歴史の影に潜む多くの謎とともにあるのです。彼の生い立ちや、組頭解任の理由、そして吉田兼亮との関わりなど、多くの未解明な部分が残されているため、今後の更なる研究が期待されます。

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