近鉄西信貴鋼索線

西信貴鋼索線：信貴山への空中散歩

西信貴鋼索線は、近畿日本鉄道（近鉄）が運営する、大阪府八尾市の信貴山口駅と高安山駅を結ぶケーブルカー路線です。通称「西信貴ケーブル」として親しまれ、信貴山朝護孫子寺へのアクセスルートとして重要な役割を担っています。全長1.3km、高低差354mを7分で駆け上がり、急勾配と美しい山々の景色が魅力です。

歴史と変遷

西信貴鋼索線の歴史は古く、1930年に信貴山電鉄によって開業しました。その後、信貴山急行電鉄を経て、近鉄の傘下となり現在に至ります。かつては東信貴鋼索線も存在していましたが、現在は廃止されバス路線に置き換えられています。山上駅からはさらに近鉄バスに乗り継ぎ、信貴山朝護孫子寺へ行くことができます。かつては山上鉄道線（信貴山急行電鉄）が運行されていましたが、現在は道路となり信貴生駒スカイラインの一部となっています。戦争中の1944年には一時休止されましたが、1957年に再開されました。1964年には近鉄東信貴鋼索線が近鉄に合併されたことに伴い、当路線は西信貴鋼索線と改称されました。2022年には落雷による運休がありましたが、現在は復旧し運行を再開しています。

路線の特徴

西信貴鋼索線は単線2両交走式で、1067mmの軌間を採用しています。最大勾配は480‰（約25°38′）と非常に急勾配ですが、安全に配慮した運行がされています。全国的にも珍しい特徴として、一般人が横断できる踏切が2箇所存在します。これは近鉄の生駒鋼索線と同様のシステムです。また、運賃体系も鋼索線特有の特殊運賃が適用され、他路線との乗り継ぎでは信貴山口駅で精算を行う仕組みです。以前は自動券売機でパールカードが使用できましたが、現在は使用できません。スルッとKANSAIも導入されていませんが、PiTaPaやICOCAなどの交通系ICカードは2015年から利用可能です。

運行と車両

現在の運行間隔は始発・最終を除き40分間隔で、運行時間は平日・土休日ともに9時台から17時台です。2010年以降、ダイヤ改正により運行本数が減少しました。年末年始には終夜運転も行われ、信貴線と連絡するダイヤが組まれています。

車両はコ7形2両が運行されています。「ずいうん」「しょううん」という愛称があり、1957年の再開時に製造されました。車両の天井下半分が透明になっており、信貴山の守り神である寅の絵が描かれています。2009年には車体補修工事と塗装変更が行われ、寅のイラストが「しぎとらくん」に一新されました。2021年には再度車体補修が行われ、1957年から1987年までの復刻塗装が施されました。また、1トン積みの貨車コニ7形も保有し、主に水の運搬に使用されています。

アクセスと周辺情報

西信貴鋼索線は信貴山朝護孫子寺へのアクセス手段として利用されています。高安山駅からは近鉄バスに乗り継ぐことができます。終夜運転時にはバスもケーブルカーと連絡して運行されます。周辺には信貴山朝護孫子寺をはじめ、歴史的な建造物や自然豊かな景観が広がっています。

まとめ

西信貴鋼索線は、歴史と魅力あふれるケーブルカー路線です。急勾配と美しい景色、そして歴史的な車両など、多くの見どころがあります。信貴山を訪れる際には、ぜひ利用してみてください。

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