近鉄18400系電車

近鉄18400系電車：ミニスナックカーから「あおぞらII」へ

18400系電車は、1969年（昭和44年）に近畿日本鉄道（近鉄）が登場させた特急用車両です。18200系の後継として製造され、後に団体専用車両「あおぞらII」としても活躍しました。この記事では、その概要から詳細、そして引退後の様子までを解説します。

概要

18400系は、大阪万博を控えた1969年から1972年にかけて10編成20両が製造されました。2両固定編成で、同時期に製造された12200系（新スナックカー）に準じたデザインと車内設備から、「ミニスナックカー」の愛称で親しまれました。京都線・橿原線系統で使用される狭幅車として設計されています。

車体

車体幅は2,670 mm、全長は20,640 mmで、当時の施設で許容される最大限のサイズでした。初期車両はA基準でしたが、18403F以降は地下線走行を考慮してA-A基準に変更されました。

主要機器

主電動機は18200系と同じ三菱電機製MB-3127-A、主制御器も同じく三菱電機製ABFMを採用。ただし、初期の2編成は複電圧仕様、それ以降は1,500 V専用となりました。台車はKD-63系の改良版であるKD-63D/Eを使用。ブレーキはHSC-Dで、抑速制動も備えています。パンタグラフは各車両に1基ずつ設置され、屋根の高さが部分的に低くなっているのが特徴です。

車内設備

車内には、偏心回転式のリクライニングシートが採用されました。これは、座席を一旦通路側にスライドさせてから回転させる方式で、以降の特急車両にも採用されています。ただし、車体幅が狭いため、窓側座席の肘掛けは窓テーブルの下に位置し、肘を置くことができませんでした。モ18400形にはスナックコーナーが設けられましたが、後に廃止されました。

改造・車体更新

1972年には列車無線アンテナが設置され、1977年からはスナックコーナーの撤去が行われました。撤去後、座席が設置されましたが、その方法は編成によって異なりました。1984年からは車体更新工事が行われ、内装の変更や前面の特急標識の変更などが実施されました。1991年からは最高速度120km/h対応工事も行われました。

運用

京伊特急を中心に運用され、スナックコーナーは名阪甲特急での代走時に営業される程度でした。1998年頃からは予備車となり、一部編成は高安検車区に所属変更となりました。1999年以降、廃車が始まり、2000年には12000系との併結でさよなら運転が実施されました。廃車車両の制御装置は30000系に転用されました。

あおぞらII

第9編成は1997年に団体専用車に転用され、「あおぞらII」となりました。塗装が変更され、ロゴは省略されましたが、近鉄公式サイトで「あおぞらII」と明言されています。内装は特急車時代のままで、18200系とは異なりリクライニングシートが維持されました。2013年に引退し、特急車時代の塗装に復元されました。先頭部は高安検車区で保存・公開されています。

展示物

2024年9月には小倉駅に先頭部を模したFRP製モックアップが設置され、AR動画による運転体験も可能です。

まとめ

18400系電車は、近鉄特急の一時代を築いた車両であり、「ミニスナックカー」の愛称で親しまれました。特急としての役目を終えた後は、団体専用車「あおぞらII」として活躍し、その一部は現在も保存・展示されています。その歴史は、近鉄特急の発展を語る上で欠かせないものです。

もう一度検索