近鉄460系電車

近鉄460系電車

近鉄460系電車は、1954年に近畿日本[[鉄道]]（近鉄）で誕生した通勤形電車です。戦後の資材不足の中、老朽化した木造車両の台枠や主要機器を再利用し、車体を鋼製化することで製造されました。27両が改造され、奈良線系統で活躍しました。

概要

戦後、近鉄奈良線系統では木造車が多く、保守に課題がありました。そこで、比較的状態の良いモ261形・ク101形・モ250形の台枠や機器を流用し、鋼体化改造を行うことになりました。1950年代には鋼体化技術が向上し、木造車と同等の重量で鋼製車体を作れるようになったことも、鋼体化改造を後押ししました。こうして、1954年から1957年にかけて誕生したのが460系です。

車体

460系の車体は、種車の影響を受け、1・2次車と3次車で長さがわずかに異なります（1・2次車：15,230mm、3次車：15,361mm）。モ460形は、1次車がHゴム支持の2枚窓、2・3次車が3枚窓の貫通型というように、前面形状が異なっています。運転台は片側のみで、奇数車は奈良向き、偶数車は大阪向きに設置されました。サ300形は切妻型で、両側に貫通扉があります。木造車時代にあったトラス棒は撤去され、鋼体化の際にプレス材やアルミ板を使用するなど、軽量化に工夫が凝らされました。その結果、モ460形の重量は29.4トンと、改造前のモ260形（28.8トン）からほとんど増加せずに済みました。室内灯は、1・2次車が白熱灯、3次車が蛍光灯でした。1次車は窓枠や側扉も流用されましたが、2・3次車ではすべて新製されています。パンタグラフはモ460形に搭載され、当初は連結面側に設置されていましたが、一部車両は運転台側へ移設されました。

主要機器

主要機器は種車から流用され、主電動機はGE社製のGE-240B形（105馬力）を4基搭載し、吊り掛け式で駆動していました。台車もボールドウィン社製のBW-78-25Aを使用しています。制御方式はMK手動式に統一されました。ブレーキは、1・2次車が当初非常直通ブレーキを使用していましたが、3次車の登場に合わせてA自動空気ブレーキに改造されました。3次車は当初からA自動空気ブレーキを搭載しています。

編成

460系は、モ460形とサ300形の2両編成を基本としていました。

改造・転用

1963年には、1・2次車の室内灯が蛍光灯化され、放送装置が設置されました。また、モ461・モ462・モ463の台車が交換され、それぞれKD-40、KD-46に換装されました。1964年には、モ460形の1次車2両が制御車のク360形に改造され、モ660形とペアを組んで大和[[鉄道]]（現・田原本線）に貸し出されました。1966年には、3次車4両がク370形に改造され、モ600形と4両編成を組み、京都線で使用されました。また、1965年にはモ467・473・475・477のパンタグラフが運転台側へ移設されています。

運用と終焉

460系は主に奈良線系統で使用されましたが、大和[[鉄道]]や京都線にも貸し出されて活躍しました。しかし、1969年9月21日に奈良線系統の架線電圧が600Vから1500Vに昇圧される際、性能面や老朽化の問題から昇圧改造の対象外となり、全車が廃車されました。短い期間での活躍でしたが、戦後の鉄道車両事情を反映した存在として、鉄道ファンに記憶されています。

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