返事はいらない

荒井由実 デビューシングル「返事はいらない」

「返事はいらない」は、シンガーソングライター荒井由実（現：松任谷由実）が1972年7月5日にリリースした、記念すべきデビューシングルです。東芝音楽工業から発売され、規格品番はLTP-2680でした。1989年12月21日にはCDシングルとしても再リリースされています。

リリースの背景と初期の評価

発売時のキャッチコピーは「★シンガー＆ソング・ライター界のスーパー・ヤング・レディー!!」。作詞・作曲・編曲、さらには指揮・ピアノ・ハモンドオルガン・歌までを荒井由実本人が担当するという、当時としては異例のスタイルでした。しかし、セールス的には苦戦し、本人の証言によれば、およそ300枚程度の販売数にとどまったとされています（800枚とする資料も存在します）。

現在では、当時のオリジナル7インチシングル盤は希少価値が高まり、価格が高騰する傾向にあります。正規盤の流通量が少なかったため、中古市場やオークションに出品されるのは見本盤がほとんどです。

楽曲の特徴

「返事はいらない」と、B面の「空と海の輝きに向けて」は、共にシングル・バージョンで収録されています。初期の荒井由実の歌声には、まだビブラートが強くかかっているのが特徴です。このシングルのアレンジはアメリカン・ロック調で、プロデュースはかまやつひろしが担当。演奏には、高橋幸宏、ガロの日高富明、BUZZ、小原礼といった、デビュー前から荒井由実と親交のあったミュージシャンたちが参加しています。

このシングルのみ、LIBERTYレーベルから発売されました。翌年以降はEXPRESSレーベルからのリリースとなります。

その後の展開

1998年には、ULTRA-VYBEから発売された『Japanese 70's 7inch Box』（日本のフォーク・ロックの貴重な7インチシングル盤10枚組）の一枚として、26年ぶりに7インチシングル盤が再発されました。この際、シングル盤レコードレーベルの「LIBERTY」ロゴが印刷されていませんでしたが、これはレーベル使用料が別途課金される可能性を考慮したためです。

また、オリジナル盤・再発盤ともに、レコードレーベル面の印刷に誤りがあり、「空と海の輝きに向けて」が「海と空の輝きに向けて」と表記されています。

収録曲

Side A: 返事はいらない (single version) -No Need To Reply-
Side B: 空と海の輝きに向けて (single version) -Towerd The Sky And Gleaming Sea-
作詞・作曲・編曲：荒井由実

収録アルバム

返事はいらない (シングル・バージョン)
Yumi Arai 1972-1976
返事はいらない (アルバム・バージョン)
ひこうき雲
Super Best Of Yumi Arai
空と海の輝きに向けて (シングル・バージョン)
Yumi Arai 1972-1976
空と海の輝きに向けて (アルバム・バージョン)
ひこうき雲
Super Best Of Yumi Arai

カバーバージョン

一十三十一 - 2009年、アルバム『Letters』収録
森七菜 - 2020年、シングル『カエルノウタ』収録

「返事はいらない」は、荒井由実の原点とも言える作品であり、その後の活躍を予感させる瑞々しい才能が感じられます。

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