迫田英典

迫田英典（さこた ひでのり）

プロフィール

迫田英典は、1959年10月11日生まれの日本の財務官僚です。山口県出身で、東京大学法学部を卒業後、大蔵省（現財務省）に入省しました。2016年には第47代国税庁長官に就任しましたが、森友学園問題に関与したことで、その名前が広く知られることとなりました。

経歴

迫田氏は、1982年に大蔵省に入省後、主に主計局や理財局でキャリアを重ねました。1990年代には、理財局国債課長補佐や主計局総務課長補佐などを歴任し、その後、地方自治体や金融庁でも勤務しました。2000年代に入ると、主計官として予算編成に関わり、2008年には主計局総務課長に就任しています。2010年には主計局次長に昇進し、2013年には関東信越国税局長、2014年には財務省大臣官房総括審議官を務めました。

2015年7月には、財務省理財局長に就任し、森友学園との国有地売却交渉を担当することになります。その後、2016年6月には国税庁長官に就任しましたが、2017年7月に退官しました。退官後は、法律事務所や不動産会社などの顧問を務めています。

森友学園問題

迫田氏が理財局長を務めていた時期に、学校法人森友学園への国有地売却問題が発生しました。この問題は、売却価格が近隣の土地と比較して著しく安いことや、売却交渉の過程で不透明な点があることなどから、大きな社会問題となりました。特に、売却契約締結直前に、安倍晋三首相の妻である安倍昭恵氏が名誉校長を務める予定だった小学校の設立計画が明らかになり、政治的な関与が疑われる事態となりました。

2017年2月には、朝日新聞がこの問題を報じ、国会でも追及が始まりました。その後、財務省が売却に関する決裁文書を改竄した事実が発覚し、問題はさらに深刻化しました。改竄された文書には、安倍昭恵氏や複数の政治家の関与を示唆する記述が含まれており、これらの記述が削除されたとされています。

迫田氏は、国会での証人喚問で、森友学園との交渉について「政治的な配慮はなかった」と答弁し、国会議員やその秘書からの問い合わせも否定しました。しかし、市民団体からは、公文書毀棄容疑で告発され、2018年には大阪地検特捜部が捜査を行いましたが、結局、迫田氏を含む財務省関係者38人全員が不起訴処分となりました。市民団体は、この不起訴処分を不服として、検察審査会に申し立てましたが、最終的に全員が不問とされました。

その後の活動

国税庁長官退任後、迫田氏はTMI総合法律事務所や三井不動産の顧問に就任しました。また、2020年からはSOMPOホールディングス株式会社の顧問兼SOMPO未来研究所株式会社の理事長を務め、2022年には株式会社Wealth Brothersの顧問、SOMPOインスティチュート・プラス株式会社のエグゼクティブ・アドバイザーに就任しています。

著作

迫田氏は、『図説日本の財政 平成22年度版』を編著として出版しています。

まとめ

迫田英典は、長年にわたり財務官僚としてキャリアを積んだ人物ですが、森友学園問題において、その名前が広く知られるようになりました。この問題は、国有地の売却プロセスにおける不透明さや、公文書の改竄など、多くの問題を提起し、日本の政治や行政における課題を浮き彫りにしました。迫田氏のキャリアと森友問題は、日本の官僚制度や政治のあり方について深く考察する上で、重要な事例の一つと言えるでしょう。

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