主計官

主計官とは

主計官（しゅけいかん、英名: Budget Examiner）は、財務省主計局に設置される課長級の国家公務員の役職です。彼らの主な任務は、国の予算案の査定と作成であり、国家財政における重要な役割を担っています。

設置根拠と職務

主計官の設置根拠は、財務省組織令（政令）に定められています。定員は11名で、その職務内容は、国の予算作成、予算執行、予備費の管理、決算作成、そして地方公共団体の歳出に関する事務を統括することです。具体的には、各省庁からの予算要求を精査し、予算の原案を作成する責任を負っています。

予算編成における役割

主計官は、担当する省庁ごとに分かれ、各省庁の政策や予算の必要性についてヒアリングを行います。また、各省庁から提出された予算概算要求を査定し、各省庁の担当者と交渉を重ねながら予算原案を作り上げます。この折衝の結果は、各省庁が実行できる政策やその予算規模を左右するため、主計官の役割は非常に大きいと言えるでしょう。ただし、予算案は、その後の局長級や大臣同士の折衝によって修正されることもあります。

主計官の組織

主計官は、総務課と各府省庁の担当に分かれています。総務課には、予算の企画と総括を担当するポストがあり、特に企画担当は、予算の枠組みを統括する重要な役割を担っています。各府省庁の担当は、それぞれが特定の省庁の予算を管轄し、専門的な知識を活かして予算編成に当たります。

各担当の主な役割

• - 総務課: 予算の企画と総括を担当し、特に企画担当は予算のフレームを決定する重要な役割を担います。
• - 各府省庁担当:

- 内閣、デジタル、復興、外務、経済協力
- 皇室、国会、裁判所、内閣官房、内閣府、デジタル庁、復興庁、外務省、各省庁のODA予算など
- 司法・警察、経済産業、環境
- 裁判所、法務省、警察、経済産業省、環境省など
- 総務、地方財政、財務
- 総務省、地方財政、消防、財務省など
- 文部科学
- 文部科学省など
- 厚生労働、社会保障総括
- 医療、介護など
- 厚生労働、こども家庭
- 労働、年金、こども家庭庁など
- 農林水産
- 農林水産省など
- 国土交通、公共事業総括
- 国土交通省、鉄道、各府省庁の公共事業予算など
- 防衛
- 防衛省、自衛隊など

主計官補佐と主査

主計官の下には、課長補佐級の主計官補佐がおり、その中でも査定権を持つ者は「主査」と呼ばれます。主査のほとんどはキャリア官僚であり、入省10年から18年程度の経験を持つ30代が中心です。主査を経験できるかどうかは、その後の出世に大きく影響すると言われており、主計官が優秀でなくても、主査が優秀であれば予算が成立するとも言われています。特に、企画、農林水産、厚生労働、文部科学といった分野は、政治的な利害が錯綜し、折衝が難しいため、花形ポストとされています。

主計官の重要性

主計官は、国の予算編成において、実務責任者として非常に重要な役割を担っています。その権限は大きく、各省庁との折衝を通じて、国の政策や予算規模に大きな影響を与えることができます。また、主計官の経験は、その後のキャリア形成においても重要な意味を持ちます。

脚注

• - 概算要求基準
• - 経済財政諮問会議
• - 骨太の方針

その他

財務官僚の人事権を握る人事院給与局給与第二課長や総務省行政管理局管理官、内閣法制局参事官などは、主計官と同様に強い権限を持つ役職として知られています。

もう一度検索