迷宮物語

迷宮物語

『迷宮物語』（めいきゅうものがたり）、英題『Manie-Manie』は、1987年に公開された日本のオムニバスアニメ映画です。この作品は1984年から1985年にかけて制作が進められたものの、内容の独特さから一時お蔵入りとなり、1987年9月に開催された東京国際ファンタスティック映画祭で初めて一般公開されました。その後、1987年10月にはビデオソフトとして発売され、1989年4月には劇場公開も行われました。

制作背景

本作は、眉村卓による同名の小説が原作となっていますが、厳密には直接の原作ではありません。映画は、りんたろう監督による「ラビリンズ＊ラビリントス」、川尻善昭監督の「走る男」、大友克洋監督の「工事中止命令」の3つの短編から構成されています。この作品は大友克洋にとってアニメ監督としてのデビュー作でもありました。タイトルロゴにはフランス語の「Manie-Manie」が大きく表示されており、英語タイトルの「Neo Tokyo」は、後に大友が手掛けた映画『AKIRA』の舞台にもなった都市名ですが、本作の内容とは直接の関係はありません。

企画の経緯は、りんたろうが角川春樹から眉村の小説の映像化について相談を受けたことに始まります。最初は『時空の旅人』との同時上映作品としてオムニバス形式で進められ、りんたろうがオープニングとエンディングを担当する形で構想されました。スタッフが想定以上に映像制作に力を注いだことにより、予算とスケジュールが超過し、完成までに1年を要しました。

角川春樹が試写を観た後、「内容がマニアックすぎる」との評価を受け、公開が一時見送られることとなりましたが、1987年9月に映画祭での上映を経て、一般公開に至ります。1986年には小説版『迷宮物語』が刊行され、その内容は長編形式で主人公の放浪といくつかの挿話が描かれています。

各短編の詳細

ラビリンズ＊ラビリントス

りんたろう監督によるオリジナルストーリーで、少女「さち」が不思議なサーカスのような世界に迷い込む様子を描いています。現実と虚構が交錯する幻想的な情景が展開され、特に終盤では斬新なアニメーション技術が用いられています。小説版では、主人公の伴門淘汰が同様の世界に迷い込み、さまざまな出会いを経験します。

走る男

この短篇では、スピードを求めてカーレースに命を懸ける男・ザック・ヒューの物語が描かれます。雑誌記者ボブ・ストーンの語りが作品に深みを与え、彼の目線から紡がれる緊迫感が特徴です。小説版とは設定が異なりますが、主人公の名前は共通しています。

工事中止命令

ジャングルの奥地で自動的に進む工事の中止を命じる社員、杉岡勉の災難を描いた短編です。原作は眉村の短編小説で、主要な登場人物の名前は原作者の友人に由来しています。アニメ版ではラストシーンが変更され、原作の詳細が省略されています。

結論

『迷宮物語』は、それぞれ異なる監督によって作られた3つの物語が共通のテーマを持ちつつ、独自のスタイルと感性で描かれており、アニメーション技術の革新を感じられる作品です。特に、主に描かれる幻想的な世界は観客に強い印象を与え、1980年代のアニメ界における重要な作品のひとつとされています。

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