迷走王 ボーダー

迷走王ボーダー

『迷走王ボーダー』は、1986年から1989年にかけて『漫画アクション』で連載された、狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画による漫画作品です。両者にとって代表作の一つであり、1991年には『迷走王ボーダー 社会復帰編』としてOVAも発売されました。

概要

作者である狩撫麻礼とたなか亜希夫は、共に小池一夫主宰の劇画村塾の出身です。本作は、1985年の『ア・ホーマンス』に続く共同作品として制作されました。

連載当時はバブル景気の全盛期であり、軽薄短小がもてはやされる時代でした。そのような時代背景に対し、本作は毎回のように劇中でメッセージを発信し、多くの読者の共感を呼び、人気を博しました。

当時、『漫画アクション』には、いしかわじゅんのエッセイ漫画『フロムＫ』も連載されていました。しかし、狩撫麻礼は『フロムＫ』での自身の描かれ方に不満を感じ、『ボーダー』第90回にて、いしかわじゅんと関川夏央を揶揄する描写をしました。これに対し、『漫画アクション』は両名からの抗議を受け、正式に謝罪文を掲載する事態となりました。問題となった第90回は、単行本には未収録となっています。

その後、続編として『ネオ・ボーダー』が『漫画アクション』誌上で2011年から2015年まで連載されました（狩撫麻礼は「ひじかた憂峰」名義）。最終回掲載号では、更なる続編『ボーダー・改』の構想も予告されていましたが、原作者の狩撫麻礼は2018年に逝去されています。

ストーリー

物語は、砂混じりの風が吹くアジアのどこかで出会った2人の旅人から始まります。数年後、ボロアパート「月光荘」の家賃3千円の便所部屋に住む無職の中年男・蜂須賀と、彼をセンパイと呼ぶ世慣れた青年・クボタ（久保田洋輔）、そして彼らに触発された東大志望の浪人生・木村（木村健悟）を中心に物語が展開されます。

蜂須賀たちは、自身らから見て「あちら側」と称する世界（コマーシャリズムやマーケティングに支配された世界）と、「こちら側」との境界線上を生きる者として「ボーダー」という生き方を選びます。本作は、彼らの生き様を、時にリリカルに、時にコミカルに描いています。

物語は基本的に一話完結形式で進行しますが、十億円事件や蜂須賀の縁談話など、複数回にわたる長編エピソードも存在します。また、登場人物や設定に変更はありませんが、旧単行本10巻巻末収録のVOL.107『帰巣本能』までが第一部、11巻巻頭収録の『変身パルコあたり』からは第二部としてナンバリングも改めてVOL.1から開始されています。第二部では、蜂須賀と当時社会現象となっていたザ・ブルーハーツの音楽との出会いが、大きなターニングポイントとして描かれています。

OVA

『迷走王ボーダー 社会復帰編』としてOVAも制作されています。

声の出演

蜂須賀: 屋良有作
久保田: 堀内賢雄

スタッフ

監督: 石黒昇
アニメーション制作: アートランド

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